学生による授業評価

(マルクス経済学 I, II ,独占資本主義論)


従来,私の担当する講義の受講者に,レポートや試験の答案に質問,要望,批判などを自由に書いてもらい,授業の改善の参考にさせてもらっていました。この方法でも授業の改善にずいぶん役に立ったのですが,やはりこういった方法では授業に対する学生の意見としては何らかの偏りがあっただろうと思います。
そこで,マルクス経済学については2002年度学年末から,独占資本主義論については2003年度春学期末から,「学生による授業評価」をしてもらうことにしました。各期末の最後または2週前の授業時間に,こちらが用意したアンケート用紙を出席者全員に配り,匿名で記入してもらいました。
目的は私の授業の改善のためですので一般に公開する必要はないのですが,この授業を履修する学生諸君にとっても何らかの参考になるでしょうし,また「学生による授業評価」への関心が高まっている昨今ですから,学生以外の方でも興味をもたれる方もいらっしゃるかもと思い,集計結果を公開することにしました。
実際に使用したアンケート用紙は各科目・各年度のページにリンクを張ってあります。

「学生による授業評価」の意義と限界(2007.8.11記)

何年か継続してアンケートを実施していると,その意義と限界が明らかになってきました。
意義は,言うまでもなく,匿名で実施しているために,本音と思われる学生の意見と評価を知ることができたこと。これにより,自分で気づかなかったことについては,授業内容や方法の改善に役立てることができ,それが私に授業に対する学生の肯定的評価の比率の増加,すなわち学生に対する教育効果の増大につながったであろうことです。
問題点としては,アンケートの質問項目に真剣に考えたとは思えないような回答が少なからずあるのはやむをえないこととしても,その他に
  1. 教育・音響設備や教室の構造(プロジェクターの鮮明度,マイクとスピーカーの性能,スピーカーの配置と学生の座る位置,マイクとスピーカーの位置関係によっては音量を上げるとハウリングを起こすなど)によって,(3)「教員の授業への取り組み方]の評価が左右される。例えば,教室の設備・構造の関係で,プロジェクターの文字が読みにくかったり,私の声が聞き取りづらかったりすると,[話し方]や[例示などの解説]の評価が低くなる傾向にある。
  2. (3)教員の授業への取り組み方の(a)話し方・聞き取りやすさと(b)例示などの解説について,アンケートの個々の回答を見ると,(1)の「興味や関心」・「難易度」・「自分の理解度」で肯定的な評価の学生で,「わかりやすい」という評価が多く,逆に,(1)で否定的な評価の学生で「ややわかりにくい」という評価が多くなっている。
    つまり,(1)「授業内容」の難易度や理解度と(4)「学生の授業への取り組み方」との相関が高いのである。つまり学生自身の出席率とレポート提出率の高低が難易度や理解度の高低を左右し,そのことが(3)の私の話し方や解説のわかりやすさに対する評価を左右することになるのである。
  3. さらに,これらが(5)の授業に対する満足度にも影響していると思われる。
つまり,それぞれの項目についての独立した評価を求めても,学生にとっては相互に関係しあった評価となってしまうことです。このことは,さらに学生自身の学習意欲や努力の有無と学生による授業評価とが無関係でないことも意味します。学生による授業評価の限界といえるかもしれません。
もちろん,こうした限界があるとはいえ,教師は自分の授業について独りよがりになりがちですし,あるいは講義内容が学生に伝わっているものと思い込みがちですから,学生が自分の授業に対してどのような評価をし感想を持っているのかを知ることは重要だと思います。

集計結果

2007年度
マルクス経済学 I マルクス経済学 II(春学期との比較)
2006年度
マルクス経済学 I  マルクス経済学 II(春学期との比較)
「独占資本主義論」は,「マルクス経済学」に比べて履修者・出席者も多くなく,集計結果のバラつきが大きいために集計結果を公表する意味がないと判断しました。
2005年度
マルクス経済学 I  マルクス経済学 II(春学期との比較)
独占資本主義論(春学期) 独占資本主義論(秋学期,春との比較)
2004年度は特別研究期間のため講義は担当していません。
2003年度
マルクス経済学 I  マルクス経済学 II(春学期との比較)
独占資本主義論(春学期) 独占資本主義論(秋学期,春との比較)
2002年度
マルクス経済学 II

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