学生による授業評価
マルクス経済学 I
2006年度 春学期


アンケート内容と集計結果

アンケート用紙 pdfファイル
実施日:2006年7月11日
回答数:108人(履修者の42.2%)。矛盾した回答や記述など真摯な記入でないものも数枚あったが,そのまま集計した。

*匿名アンケート形式の「学生による授業評価」には意義とともに限界もあります。この点については,「学生による授業評価」の意義と限界もご覧ください。

学生による授業評価
*匿名ですので正直に答えてください。
*自分の感想に近い数字に○を付け,理由や特記事項があればその下に記入してください。
(1)授業内容について
(a) 興味や関心 1.持てた 2.やや持てた 3.あまり持てなかった 4.持てなかった
(b) 難易度 1.易しい 2.やや易しい 3.普通 4.やや難しい 5.難しい
(c) 自分の理解度 1.理解できた 2.ほぼ理解できた 3.あまり理解できなかった 4.理解できなかった
(a)興味や関心は,「持てた」・「やや持てた」が93%(10ポイント増加,昨年度比,以下同じ)。
(b)授業の難易度は,「やや易しい」・「普通」が60%強(約20ポイント増加)。
(c)理解度は,「理解できた」・「ほぼ理解できた」が77%(5ポイント増加)。

授業内容自体は昨年度までと変化はないので,今年度から講義資料を大幅に改良し,授業の際にパワーポイントを利用したことの成果が出たものと思われる。
(2)授業方法について,次の各項目は勉強する上で役に立ちましたか?
(a) プロジェクター 1.役に立った 2.やや役に立った 3.あまり役に立たなかった 4.役に立たなかった
(b) 板書
(c) ウェブサイト
(d) 課題レポート
(a)プロジェクター(パワーポイント)は,「役に立った」が77%,「やや役に立った」と合わせると98%,昨年度よりさらに増加して,ほぼ全員となった。文章や図表のアニメーション効果などが内容の理解や授業への集中力の維持に貢献したのだろう。

(b)板書については,「役に立った」が約25%,「やや役に立った」と合わせると75%で,昨年度よりも若干減少。板書からプロジェクターに比重を移したため,板書の印象・評価が低くなったのかもしれない。

(c)ウェブサイトの利用について,70%が「役に立った」と回答,「やや役に立った」と合わせると94%が肯定的評価。

(d)課題レポートについて,「役に立った」と「やや役に立った」と合わせると96%(2ポイント増加)。(4)の(b)レポート提出率の高さを考えると学習のための指針として役立つことが定着している。
(3)教員の講義への取り組み方について
(a) 話し方 1.わかりやすい 2.ややわかりやすい 3.ややわかりにくい 4.わかりにくい
(b) 解説(例示など)
(c) 教育への熱意 1.感じた 2.やや感じた 3.あまり感じなかった 4.感じなかった
(d) 成績評価方法 1.厳しい 2.やや厳しい 3.妥当 4.やや甘い 5.甘い
(a)話し方は,「わかりやすい」が41%(19ポイント増加),「ややわかりやすい」と合わせた肯定的評価は81%(11ポイント増加)。

(b)例示などの解説は,「わかりやすい」が44%(8ポイント増加),肯定的評価は90%(10ポイント増加)。

(c)教育への熱意では,「感じた」が56%(9ポイント増加),肯定的評価は95%(8ポイント増加)。

(d)成績評価では,「厳しい」・「やや厳しい」が51%(8ポイント減少),「妥当」とほぼ拮抗。
(a)〜(c)の肯定的評価が昨年度よりも増加した理由は,講義資料の改良・パワーポイント利用(板書の減少)によって,私自身が時間的余裕を持って話すことができるようになったこと,学生もノートへの筆記量が減って私の話への集中度が高まり理解しやすくなったことが考えられる。
なお,(d)で学生が成績評価を厳しいと感じていることについて,過去の成績統計ではD評価が14%程度,A評価が約1/3であるから特に厳しいわけではないのだが,学生の間での「噂や評判」が依然として影響しているのかもしれない。(もちろん出席率が低く勉強不足の学生にとっては「厳しい」のは当然であるが。)
(4)あなた自身の授業への取り組み方について
(a) 出席率 1.毎回出席 2.3/4以上出席 3.1/2前後出席 4.1/4以下
(b) レポート提出率 1.毎回提出 2.2/3以上提出 3.1/2前後提出 4.1/4以下
(c) 予習や復習 1.努力した 2.やや努力した 3.あまり努力しなかった 4.努力しなかった
(a)出席率は,3/4以上が97%。アンケート実施日はレポート提出日で,レポート提出率が約60%に対してアンケート提出者が履修者の約42%であった。友人にレポート提出を依頼した者も多いのであろう。常時出席している約4割の学生と,ほとんど出席しない学生とに2極分解していることがうかがわれる。

(b)レポート提出率はほぼ毎回提出者が87%となっている。昨年度よりも若干減少した。

(c)予習・復習の努力についての自己評価はかなり低く,「努力した」・「やや努力した」が約5割。
(5)全体的な満足度
(a) この授業に対して 1.満足 2.やや満足 3.普通 4.やや不満 5.不満
(b) 他の授業と比較して
(c) この授業の履修を他の人
にも勧めますか?
1.勧める 2.どちらかといえば勧める 3.あまり勧めない 4.勧めない
(a)この授業に対する満足度は,「満足」が25%(5ポイント増加),「やや満足」と合わせて69%(1ポイント増加)。

(b)他の授業と比較した満足度では,「満足」が36%(4ポイント増加),「やや満足」と合わせると77%(8ポイント増加)。

(c)他人に履修を勧めるか否かでは,「勧める」が28%(9ポイント増加),「やや勧める」と合わせると82%(6ポイント増加)。
(6)その他:自由に書いてください。
具体的な記述内容は下の表を見てください。

(6)の記述項目と記述内容

(1)〜(5)の各項目に特記事項として記入されたものも掲載。原則として原文のままで,< >は内容の理解のため,わたしが補足しました。
記述項目 記述内容
(1) 興味・関心 かなり興味がもてました。
様々な具体例や自分の生活とのかかわりなどを含めて,資本主義経済というものを学ぶのは良かったです。[難易度]時々混乱することがありました。
他の視点から見た資本主義の分析はおもしろかった。
経済学部において資本主義を批判的かつ客観的に分析するこの授業は,とても興味が持てました。
区切りごとにレポートがあったため,自分の復習になってとても良かったです。マルクス経済にとても興味がもてました。
資本主義の仕組みがみえた。[話し方]もう少し声を大きくして下さい。
全体として分かり易くて良い講義だった。レポートを毎回書くのと,レジュメの内容(というかマルクス経済学自体?)を理解するのが難しかった。[話し方]もう少し声が大きいと良い。
[興味]他の授業に比べ,授業に臨むための勉強量が多いため,自然と持てた。[理解度]レポートがかなり役立つと思う。[ウェブサイト]とても素晴らしいことだと思います。[話し方]しゃべり方が良いと思います。聞きやすいし,落ち着いているので。[熱意]大学ではあまり感じられなかった熱意を感じました。
[興味]資本がどのように動いているのかよく分かった。[レポート]課題に取り組むことで理解が深まった。[熱意]とてもいい授業でした![満足度]一番好きです。
内容が抽象的過ぎてムズカシイ。こんなに量が多いのに持込み不可はキツイ。
[興味]経済の中の不条理がわかった。きれいごとでない経済に興味を持った。資本主義ってつらいものなんですね。[満足度]他<の授業>があまりにもひどいらしい(特にK先生)。知り合いに「マルクス習っている。」と言っただけでひかれた。父親から少し怒られた。
(2) 授業方法 [プロジェクター]みやすい。[板書]ちょっと分かりにくい。[ウェブサイト]しっかりしていた。[レポート]ムズい。[話し方]所々聞きとりにくい。[その他]教材が良かった。重要なトコロが穴うめという形式は授業に集中できるし,先生の話にも追いつけるので良かった。
ノートがあるのは非常に役に立ちました。
[プロジェクター]重要なことを書き込めばいいのがよかった。[板書]図での解説がよかったです。[ウェブサイト]課題の解説が載っていてよかったです。[レポート]テスト勉強。
最初は正直課題が多く少々厳しいのではと思っていましたが,やっていくうちに先生が課題を出される意図が分かるようになり,ためになっています。
最初レポートが多いと思ってしまいましたが,レポートが宿題として出た方が理解が進み,よかったです。
説明とプロジェクターで,とてもわかりやすかったです。
[プロジェクター]できればもう少しゆっくり・・・。[レポート]これは役に立った。このおかげで理解できると言っても良い。
レジュメをけさないで下さい
webでアップしてあるレジュメが大変便利で授業に集中することができました。
[プロジェクター]ないとわからない。[レポート]非常に役に立った。[満足度]<この授業を>とっておくと来年ゼミで有利。マルクスをやっていないと不便。
[ウェブサイト]レジュメのダウンロードで授業が受けやすかったです。[レポート]レポートの内容が授業内にやったこととはいえ,1回1回の分量がややヘビーな気がします。[他の人への推薦]レポートが多いので忙しい人には勧めづらい。
[レポート]<役に立った>でも多いです・・・。僕は救済に頼らぬよう努力します![他の人への推薦]レポートが多く,僕の知人にマジメな人がほぼいない。[その他]大変だけど楽しかったです。
範囲がある程度あるので試験は難しくなるとは思うが,レジュメや過去問がウェブ上にupされているので大変役立った。話し方etc.もとてもききやすかった。
毎回論点がまとまっていて,段階的に理解が進み,経済についての興味がわいた。大教室での授業は好きではないが,その見本をみたような気がしました。
課題の提出はワープロ可だといいなと思いました。
レポートがあったので,定期的に復習できてよかった。
レポートにより,よく復習できた。
レポートを重視してほしい。
レポートの配点を上げてください。
レポートがあるからやらざるを得ないが,その方がありがたい。
<プロジェクターは役に立ったが>ただちょっとページを変えるのが速い。過去問や過去の成績分布がウェブにのっているのが気持ち良い(!?)です。(秘密にしないのが)
プロジェクターの穴うめがわかりづらいです。
(3) 講義 ちょっとしゃべるのが早い時がありました。
もっと元気に話して欲しいです。
ウェブサイトのQ&Aにもありましたが,レポートの配点が絶妙です。
内容が多いからだと思いますが,もっとゆっくりやってほしかったです。
先生の使う具体例はわかりやすかったです。
もっと具体的事例を挙げて話を進めた方が,わかりやすくなるのではないかと思った。
[熱意]僕は先生の授業好きです。[満足度]<この講義の履修を他の人に>とてもすすめます。[その他]難しい部分もありますが,良い科目だと思います。
(5) 満足度 大学に来て初めて勉強する気になった。
(6) その他 私語に対して甘いです。2回以上注意されるようだったら何らかの罰則(減点)をとるべきだと思います。
この授業は私語が少なく,環境のよい授業でした。
最後のほうだけ出ました。分かりやすく,聞きやすい授業でしたので最初から出ていればよかったです。
おしゃべりしに来ている女子がうるさすぎる。
範囲が多すぎる。
とてもわかりやすい授業だったと思う。レポート提出があるとやらなくては!という気持ちになって,試験前に詰め込むということがなくて良い。
先生が真面目で熱意があってとてもいいです。教室内が静かになるので授業内容を集中してきくことができます。一度も休まなかった唯一の授業です(笑)。大学の授業がこのようなものばかりなら良いなと思います。

(7)答案に書かれた感想や要望

定期試験の問題の末尾に「時間に余裕があれば,授業や試験問題に対する感想・批判などを書いてください。今後の参考にします。」と書いています。
今回も30名ほどの人が書いてくれていました。上記のアンケートとも関係するので,いくつかを紹介しておきます。
これから履修する人は特に14,15のコメントの重さをわかってほしいと思います。
記述項目 記述内容
1 満足度 すごい難しかったです。マルクス経済学の授業は自分の中ですごい好きで,熱心に聞いています。後期も素晴らしい授業にしていって下さい。
2 授業方法 穴埋めしながら授業を進める方法は定着しやすいので,他の「プリントを配って話して終わり」という方式よりはよいと思います。
レポートもその度に復習できるので賛成です。
テストもまんべんなく出題されていて,「No勉」との差がつけられるので適切ではないでしょうか?
秋もこの方式でやってほしいです。
3 授業方法 授業はとても分かりやすく,良かったです。ただ,スライド1枚あたりの情報量が多いような気がします。
スライドの下の方に書かれていることがノートにとりきれないことが何度かありました。
4 授業方法 HPからレジュメ,課題,その他注意事項を適宜upしてもらえるのは,とても便利で使いやすかったです。
また,過去のマルクス履修者の統計など,授業の内容以外にもコンテンツが充実していて,HPとしての質も高かったと思います。個人的に最もうれしかったのが,過去の課題の解説がupされていたことです。これのおかげで自分の解答と照らし合わせながら復習ができて,理解を深めることができました。
5 授業方法
・試験
授業はレジュメ穴埋め方式のため,先生の話に集中でき,メリハリを持って授業が受けられたのでよかった。試験内容は,What's Oldのページの問題もやっていったが,今回の問題は過去の問題と(1)が少し違ってた。何か先生の意向が感じられた。
6 授業方法
・試験
過去の試験とは少し出題ポイントが変わった気がします。内容に関してもとてもわかりやすく,たいへん興味のもてる講義でした。半ば強制的に逐一学習できたので良かったです。
ただ,レジュメとスクリーンとを照らし合わせるのに必死になっていることもあり,話を聞き逃したり,書ききれなかったりすることもありました。空欄部分は下線を引くか,Web上にUPしてくださると,もっと効率よく講義に耳を傾けられるのではないかなと思います。興味深い講義,ありがとうございました。
7 授業方法
・試験
授業に関しては,レジュメがよくまとまっていて,課題を解くことで授業の復習になり,勉強しやすい形でした。さらに授業の前にテキストを読んでおくことで授業の内容が頭に残ると思うので,秋学期はそのようにしたいと思います。
試験に関しては,レポートの解き直しを中心に勉強していたため,最も力を入れた範囲とズレがあって残念でした。ただレポートの内容とこの試験問題の解説を読むことで春学期の範囲を一通り理解できるようになっているかもしれません。
春学期,お疲れ様でした。秋学期もよろしくお願いします。
8 試験 テスト問題に関してはまんべんなく勉強した人がとれるテストになっているので良かったと思います。
9 試験 試験問題の感想といたしましては範囲が広く大変でしたが,やったことはがんばって出しきれたと思います。
「貨幣商品の特殊性」や「貨幣の機能」をてつやでやりましたが,でませんでしたね。
講義内容は難しいですが,今回マルクスを一番時間をかけて勉強したせいか,とても面白い学問だと思いました。その要因として経済思想の歴史を勉強したからということもあげられますが,後期はしっかりと授業に出ますのでよろしくお願いします。
10 講義内容 資本主義には矛盾があり,このままでいいのかと考えるようになった。
11 講義内容 マルクス経済学,思っていたより面白かったです。何より「どれだけ社会主義がいいものか!を説くのではなく,「資本主義の仕組み・ダメなところ」を考えていくという発想が非常に興味ありました。テストを受けて思ったのは自分の中で理解しているつもりでいることも,簡潔に文字にして相手に伝える,というのはムズかしいなということです。
12 講義内容 マルクス経済学の理論は「なるほど」と思う理論で楽しく学ぶことができました。実社会の仕組みを学ぶ上でもとても役に立ちました。
13 教師の姿勢
・内容
筆記の練習をしないと書くのが大変だということを文字通り「痛感」した。
途中からの追加申告だったけど,学生からの意見を聞いて変えていくというスタイルはすごく好感が持てた。
マルクス経済学自体は何かの答えを出すとは今でも思えてないけど,いろんな事実を考察するための基盤を教えていただいたのかなと思った。
14 教師の姿勢 先生の授業は,勉強した,しなかったが非常にあらわれる授業です。
こんなにも生徒のことを考えている先生は他にいらっしゃらないと思います。
残念ながら,今回の私は勉強不足です。これはわたしの責任です。
15 教師の姿勢 断片的知識やその場しのぎな情報によって,試験を乗り切りさえすればよいという態度を批判される姿勢に刺激を受けた。授業の内容の理解と論理の把握がなければ,単位の獲得が形骸化するのは自明であることを再認識できた。
先生の熱心な指導姿勢が一部の学生から誤解されていることを非常に残念に思う。

[学生による授業評価]のトップページへ 

トップページへ(検索サイトからこのページへ来られた方用)