公共選択論 2001年度春学期試験問題

担当:土居丈朗

 ※ 試験時間:60分、テキスト、配付プリント、自筆ノートのみ持込可

1.この講義で取り上げた次の専門用語について、それぞれの内容(定義)を答案用紙2行以内で説明せよ。
  1. 中位投票者定理
  2. ニスカネンの官僚の予算規模最大化仮説
  3. ノードハウスの(狭義の)政治的景気循環
  4. 日和見仮説
  5. 業績投票
  6. 無党派層の呪い(swing voter's curse)


2.有権者が7人(有権者A〜G)いて、候補者が5人(候補者w〜z)立候補している下で選挙を行い、1人の当選者を決めたいと考えている。各有権者は、自らの選好順序を偽らずに棄権することなく投票し、下記のような候補者に対する選好順序を持っているとする。

1位
2位
3位
4位
5位

 そこで、次のような投票制度を採用して当選者を決めようと考える。

●単純多数決投票:
各有権者は自らが最も好む(1位)候補者1人に投票し、最多得票の候補者を当選とする。
●決選投票:
各有権者は自らが最も好む候補者1人に投票し、最多得票の候補者を当選とする。ただし、最多得票の候補者の得票数が過半数に達しない場合は、先の投票結果の上位2名の候補者で決選投票を行う。決選投票の際は、各有権者は先の投票と無関係に、2名のうちで選好順序が高い方の候補者1人に投票し、最多得票の候補者を当選とする。
●是認投票:
各有権者は当選しても構わないと思う(是認する)候補者を何人でも投票できる。開票段階で、最多得票の候補者を当選とする。ただし、有権者B、C、D、E、Gは上位2人を、有権者A、Fは上位3人を是認して投票するものと仮定する。
●Borda投票:
各有権者は選好順序通りに1位から5位の候補者を順位をつけて投票し、開票段階で各有権者ごとに1位5点、2位4点、3位3点、4位2点、5位1点の点数を候補者に付して、最多得点の候補者を当選とする。

 これらの投票に関して、次の問いに答えよ。ただし、開票結果を示すことが求められている場合、各投票において誰が何票得てどのような結果が導かれたかを、答案用紙に示すこと。

@単純多数決投票の開票結果を示し、当選者を答えよ。
A決戦投票の開票結果を示し、当選者を答えよ。
B是認投票の開票結果を示し、当選者を答えよ。
CBorda投票の開票結果を示し、当選者を答えよ。
Dこれらの開票作業にたずさわって、抱いた主観的感想を述べよ。


3.日本の政治・経済の現状を鑑み、今すぐに取り組むべき最も必要な改革は何か、この講義で学んだことを踏まえて、あなたの考えを次の条件を満たすように述べよ。
@最初に、「今すぐに取り組むべきだとあなたが考える最も必要な改革」を1つだけ書きなさい。例えば、財政構造改革、公共投資の配分、定数是正、日本銀行の独立性の強化、公的年金の民営化、地方自治体への税源移譲、というように示すだけでよい(これら以外も可である)。それは、あなたが後に書くその内容と理由とに合致したものでなければならない。
A次に、「今すぐに取り組むべきだとあなたが考える最も必要な改革」について、その内容を具体的に書き、なぜ改革しなければならないかについての理由や現状認識を書きなさい。

ただし、下記の点に注意すること。

◇政治家のモラルの向上、官僚の意識改革、民間企業での社内賃金格差の是正、というように、それ自体が法律・制度の改正や政策の変更とは直接関係のないものは不可とする。
◇あなたの考えを述べる際、この講義で学んだことを踏まえて、経済学・公共選択の理論の考え方を生かして書きなさい。この講義は経済学部の講義であるから、法学、政治学、社会学などの考え方で、経済学・公共選択の理論の考え方と相容れないものは認められない。
◇多く書けば高い得点が与えられるというわけではない。短くても要領を得た内容であれば、高い得点が与えられる。

試験問題の正解


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