公共選択論 2001年度春学期試験問題 正解

担当:土居丈朗

 本試験の正解は、本講義の内容に準拠している。下記以外にも正解と見なし得るものはあり、採点者がその正否を判断する。

1.
  1. 選択対象が1つの場合、全ての投票者の選好が単峰型であり、どの投票者も2つの選択肢について自由に提案できるときに、多数決投票によって中位数の投票者の効用最大化点が社会的決定となる。
  2. 官僚が公共サービスの費用の情報を独占しており、予算編成権を握る政治家には偽って費用を報告し、政治家が純便益を最大化することを利用して、予算規模を最大化する官僚の行動。
  3. 選挙時期が決まっていて、政策が景気を動かせる状況で、有権者が景況を見て投票するとき、どの与党も、選挙前に景気を良くする政策をとって好況となり、選挙後にはその政策を打ち切って景気が悪くなるという景気循環。
  4. 選挙時期が決められておらず、有権者が景況を見て投票する状況で、与党が景気が良い時期を見計らって選挙をするという仮説。
  5. 投票者が、選挙前までの政策結果を見て、ある基準よりもよければ与党に、悪ければ野党に投票する行動。
  6. 選挙において景気を良くしてくれる候補者を事前に知らず、景気が良くなることで高い効用を得る無党派層が、投票するよりも棄権する方が事後的に景気を良くする候補者が当選することを事前に知るため、棄権する状況。

※ 2行を超えて記述した場合は不可とした。


2.
@相対的多数決投票では、各有権者は自らが最も望む(選好順位の高い)候補者に投票するから、投票結果は

候補者x3票
候補者z2票
候補者v1票
候補者y1票

となる。したがって、候補者xが当選者となる。
A決選投票では、第1回投票では@の相対的多数決投票と同じ方法により投票が行われるため、投票結果も@と同じとなる。このとき、最多得票者の候補者xは過半数の票を得ていないため、上位2名による決選投票となる。決選投票(第2回投票)では、各有権者は候補者xと候補者zのどちらか望む(選好順位の高い)候補者に投票する。この投票結果は、

候補者z4票
候補者x3票

となる。したがって、候補者zが当選者となる。
B是認投票では、有権者B、C、D、E、Gは上位2人を、有権者A、Fは上位3人を是認して投票するから、投票結果は、

候補者v4票
候補者w3票
候補者x3票
候補者y3票
候補者z3票

となる。したがって、候補者vが当選者となる。
CBorda投票では、各有権者は選好順序通りに1位から5位の候補者を順位をつけて投票するから、投票結果は、

候補者w23点
候補者z22点
候補者v21点
候補者x20点
候補者y19点

となる。したがって、候補者wが当選者となる。
D投票結果に関して触れていれば、どのような感想でも可とした。

※ @〜Cでは、開票結果を示さなかったものは減点対象とした。


3.

※ 教科書を丸写しにしたと思われる場合は不可とした。
※ 条件に従っている限り、選択したテーマによって優劣は付けなかった。


試験問題


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