担当:土居丈朗
※ 試験時間:60分、テキスト、配付プリント、自筆ノートのみ持込可
公債が持続可能であるとは、経済学の定義では、政府保有財産の売却収入を用いず、租税を公債の利払い・償還財源として、今後も従来の財政運営のままで公債を発行し続けても、無限先の将来において公債残高が[ T ]しない、ということである。公債残高が将来無限に[ T ]しないということは、将来的には財政が破綻しないことを意味する。逆に、公債残高が将来無限に[ T ]するということは、将来のいずれかの時点で財政が破綻してしまうことを意味する。
近年提示された政府債務の持続可能性の条件とは、前年度末公債残高対GDP比が上昇したときには、基礎的財政収支対GDP比を[ U ]させる財政運営を行う、という条件である。これが直観的に意味することは、公債残高がそれほど多くないときに基礎的財政収支が赤字であったとしても、公債残高がある水準以上大きくなったときには、原則として[ V ]を改善する(赤字を減らす、あるいは収支を黒字化する)ように財政運営し、かつその運営ルールから大きく逸脱しなければ、公債は持続可能である(財政は破綻[ W ])いうことである。
もし前年度の財政運営で公債残高対GDP比が上昇するだけ公債残高が増加した場合、政府は今年度の財政運営をどうすればよいか、を考えたい。前年度末公債残高対GDP比が大きくなったにもかかわらず、今年度の基礎的財政収支の赤字幅が[ X ]するような財政運営をとれば、前年度よりもさらに公債を多く発行することになり、公債残高はさらに増加する。このような運営を続ければ、やがて公債残高が返済しきれないほどまで累増して、財政は破綻する(政府債務は持続可能でない)ことになる。
逆に、前年度末公債残高対GDP比が上昇したのに対して、今年度の基礎的財政収支の赤字幅を[ Y ]するような財政運営をとれば、公債発行の増加が抑制される(ただし、基礎的財政収支が赤字である以上、公債残高の[ Z ]は避けられない)。これを継続する財政運営をとれば、基礎的財政収支は改善して、やがて黒字になり、公債残高はこれ以上[ Z ]しなくなるため、財政は破綻しない(政府債務は持続可能である)といえる。
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