公共選択論 2000年度秋学期試験問題 正解
担当:土居丈朗
本試験の正解は、本講義の内容に準拠している。下記以外にも正解と見なし得るものはあり、採点者がその正否を判断する。
1.
- クラブ(連合政権)に参加しない主体(政党)の非協力的な行動により参加する主体が蒙る(外部)費用と、参加する主体が合意を得るための(意思決定)費用を合計した相互依存費用が最小となる数でクラブ形成に合意するのが望ましい、とする合意形成過程。
- 自らの理念を実行することを目的とする政党が、それぞれ異なった経済政策(理念)を追求する(党派的行動をとる)ことによって、政権交代を契機に異なった景気循環が生じること。
- 小選挙区制では2大政党制に収束し、選挙区の定員がより多い選挙制度であるほど議会で影響力をもつ政党の数が多くなりうるという経験則。
- 選好が単峰型でない個人が存在するとき、二者択一の単純多数決投票では社会的な選好順序が決定できなくなるという現象。
- 各投票者が候補者の中から選出してもよい(是認する)と考える候補者を任意に選んで投票し、最多得票を得た候補者を選出する制度。
- 政府支出を所与としたとき、現在の政府支出の財源として増税してまかなっても、増税せず公債を発行してまかなっても、マクロ的な効果は同じであるという命題。
2.
@税収マイナス公債費を除く歳出
A基礎的財政収支が黒字であれば、税収が公債費を除く歳出を上回っており、公債償還に充てて公債残高を減らす余裕があることを意味し、赤字になれば税収が公債費を除く歳出を下回っており、その不足分を公債発行に頼らざるを得ないため、公債残高が増加することを意味する。
BT:発散、U:改善、V:基礎的財政収支、W:しない、X:拡大、Y:縮小、Z:累増
C租税で償還することを前提として、従来の財政運営を継続すれば、将来のいずれかの時点において政府債務は持続可能でなくなる状態にある。なぜならば、最近の財政運営は、公債残高対GDP比が上昇していながら、基礎的財政収支対GDP比を悪化(赤字を増加)させる運営を行っているからである。
3.
略
<参考>
3の解答者が取り上げた改革を大別すると、下記のようになった。
項目 |
解答者数 |
地方分権 |
31 |
財政構造改革 |
22 |
選挙制度改革 |
12 |
年金制度改革 |
10 |
日本銀行の独立性強化 |
5 |
税制改革 |
5 |
規制緩和 |
2 |
公務員給与体系の見直し |
2 |
その他 |
1 |
Copyright © 2001 Takero DOI. All rights reserved.
土居丈朗のサイト(日本語トップページ)へ