@公共財の最適供給問題について、家計Bがすでに効用を最大化して効用水準がUB*に達していて、この水準UB*を維持しつつ、家計Aの効用を最大化すればよい。そこで、家計Aの効用最大化問題を考える。
max UA(xA, G)=5xAG
subject to 3xBG=UB*,
x−8G=0,
xA+xB+x=960
について、ラグランジュ乗数法で解く(ラグランジュ関数をLとする)
L=5xAG+l1{3xBG−UB*}+l2{xA+xB+x−960}+l3{x−8G}
この1階条件より、
xA+xB=8G
となり、サミュエルソンの公式が得られる。この式とxA+xB+8G=960より、
8G+8G=960
よって、この下での公共財供給量は
G=60
となる。
A公共財の自発的供給問題(ナッシュ均衡)については以下のように解く。家計Aの公共財供給量をTA、家計Bの公共財供給量をTBとする。このとき、TA+TB=Gの関係が成り立っている。そこでまず家計Aの効用最大化問題(TBを所与として)、
max UA(xA, G)=5xAG
subject to xA+8TA=360,
TA+TB*=G
について、ラグランジュ関数をL=5xA(TA+TB*)+l1(360−xA−8TA)とする。
次に、家計Bの効用最大化問題(TAを所与として)、
max UB(xB, G)=3xBG
subject to xB+8TB=600
TA*+TB=G
について、ラグランジュ関数をL=3xB(TA*+TB)+l2(600−xB−8TB)とする。
これらを解くと、それらの1階条件から
xA xB
────=────=8
TA+TB TA+TB
となる。上式と予算制約式より
xA=360−8TA,
xB=600−8TB
となる。したがって、ナッシュ反応関数は
TA=45/2−TB/2,
TB=75/2−TA/2
となる。このとき、ナッシュ均衡点では、TA=5, TB=35となる。よって、この下での公共財供給量は
G=40
となる。
B公共財の自発的供給問題(ナッシュ均衡)については以下のように解く。家計Aの公共財供給量をTA、家計Bの公共財供給量をTBとする。このとき、TA+TB=Gの関係が成り立っている。政府による所得再分配政策により、家計A、家計Bともに所得は480となった。そこで家計Aの効用最大化問題(TBを所与として)、
max UA(xA, G)=5xAG
subject to xA+8TA=480
TA+TB*=G
について、ラグランジュ関数をL=5xA(TA+TB*)+l1(480−xA−8TA)とする。
次に、家計Bの効用最大化問題(TAを所与として)、
max UB(xB, G)=3xBG
subject to xB+8TB=480
TA*+TB=G
について、ラグランジュ関数をL=3xB(TA*+TB)+l2(480−xB−8TB)とする。
これらを解くと、それらの1階条件から
xA xB
────=────=8
TA+TB TA+TB
となる。したがって、ナッシュ反応関数は
TA=30−TB/2,
TB=30−TA/2
となる。このとき、ナッシュ均衡点では、TA=TB=20となる。よって、この下での公共財供給量は
G=40
となる。
CT:同じである、U:ナッシュ、V:ない
D政府による公共財供給問題(リンダール均衡)については以下のように解く。hAとhBの関係はhA+hB=1である。そこでまず家計Aの効用最大化問題(hAを所与として)、
max UA(xA, G)=5xAG
subject to xA+8hAG=360
について、ラグランジュ関数をL=5xAG+l1(360−xA−8hAG)とする。
次に、家計Bの効用最大化問題(hBを所与として)、
max UB(xB, G)=3xBG
subject to xB+8hBG=600
について、ラグランジュ関数をL=3xBG+l2(600−xB−8hBG)とする。
これらの1階条件から、
xA xB
──=8hA, ──=8hB
G G
となる。上式と予算制約式から、
2hAG=45, 2hBG=75
が得られる。このとき、2(hA+hB)G=120であり、hA+hB=1だから、この下での公共財供給量はG=60となる。
よって、
hA=3/8(=45/120),
hB=5/8(=75/120)
となる。