ここでは、各回での内容に関連して付け加える情報をお伝えします。
『経済セミナー』2001年9月号では、紙幅の都合で言及できなかった固定資産税の詳細について、ここで紹介したい。
「連載本文の脚注2」についての補足
この結論は、家計の土地所有の状況に影響を受けない。いま、地域iの土地を自地域の住民が所有する割合をdiとすると、連載本文の(8)式は
xi=wi+di(Ri−tLiLi)/ni+(1−dj)(Rj−tLjLj)/ni i=1, 2, j≠i
と書き換えられる。固定資産税を課税したとき、地方政府iの代表的家計の効用を最大化する政策決定により、
niMRSi=diP
となる。各家計が各地域の土地を均等に所有する(di=ni/N "i)と仮定する場合は、上記の1つのケースといえる。ただし、土地を自地域の住民で所有する(di=1 "i)のときだけは、サミュエルソンの公式(3):niMRSi=Pが成り立つ。
『経済セミナー』2001年9月号では、紙幅の都合で言及できなかった国庫支出金の詳細について、ここで紹介したい。
国庫支出金(特定定率補助金)の廃止
地方公共財の便益のスピルオーバー効果がなくなれば、地方政府に対して特定定率補助金(国庫支出金)を分配する正当性はなくなる。それでいて、特定定率補助金は、連載第5回の追加情報で見たように、租税価格を変えて代替効果が生じるから、一般定額補助金よりも望ましくない。したがって、地方政府に対する特定定率補助金(国庫支出金)は、基本的に廃止すべきである。
これは、地方交付税(一般定額補助金)の廃止や課税自主権の地方政府への移譲の前に行うべき改革である。
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