音の静かな車が視覚障害者の路地横断時の安全性や安心感に及ぼす影響に関するアンケート調査の結果(概要)


慶應義塾大学心理学教室

http://www.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/

調査責任者:中野 泰志


はじめに

 「路地を横断する際、エンジン音がしなかったので、横断しようとしたところ不意に目の前を何かが横切り、怖い経験をした。最近、注目されているハイブリッド車ではないだろうか?」という報告が一人の視覚障害者から寄せられた。
 ハイブリッド車(hybrid car)とは混合動力車のことで、2種以上の動力源を使用する自動車を指す。動力源の組み合わせとしては、エンジンと電動機、エンジンとフライホイール、ガス・タービンとフライホイールなどが考案されている。日本ではトヨタ自動車株式会社がエンジンと電動機のハイブリッドカー「プリウス(HK-NHW10)」を市販したのをきっかけに、排気ガスや騒音等が少なく、優れた環境性能の車として注目を集めている。
 しかし、その静粛性のため、歩行者が車の存在に気づきにくく、接触事故等に巻き込まれる可能性も秘めている。特に、路地等を横断する際に車の有無をエンジン音で確認する場合が多い視覚障害者にとって、新たなバリアになる可能性もある。
 そこで、ハイブリッド車等の音の静かな車が視覚障害者の路地横断時の安全性や安心感に及ぼす影響に関する研究プロジェクトをスタートさせることにした。本報告は、その研究の一環として実施したアンケート調査の概要である。


目的

 単独歩行している視覚障害者が路地を横断する際にどのような情報を手がかりにし、どんな困難や不便さを感じているか、また、車の音をどの程度利用しているのかを明らかにするためにアンケート調査を実施した。


方法

 音の静かな車が視覚障害者の路地横断時の安全性や安心感に及ぼす影響を分析するために、1)ユーザの特性、2)単独歩行の実態、3)路地横断の際の手がかり、4)車の発見、5)事故経験等の観点から14項目のアンケート調査を作成した。アンケートへの協力者は、視覚障害関係のメーリングリスト(VIRN視覚障害リソース・ネットワークメーリングリスト、全国視覚障害者雇用促進連絡会メーリングリスト等)で募集し、調査はメールで実施した。


結果

 現在、集計作業を継続中です。逐次、更新します。


謝辞

 本調査研究にご協力いただいた皆様、どうもありがとうございました。本調査結果は、ハイブリッド車等の音の静かな車を製造しておられるメーカーの方々にも適宜、お知らせし、活用していただいております。また、学会等で発表し、音の静かな車が視覚障害者の歩行に影響を及ぼす可能性についてアピールを行っております。多くの人の英知を集め、視覚障害者にとって安全であり、なおかつ、環境性能も優れたシステムが実現できるように努力を続けていきたいと思います。引き続き、ご協力をよろしくお願いいたします。


お願い

 本報告は、インターネットを通じて実施したアンケート調査の概要です。100名を超える視覚障害者にご協力いただきましたが、サンプリングには偏りがある可能性があるため、結果を過信しないでください。また、転載等をする場合には、必ず、ご連絡をお願いいたします。


問い合わせ先

 担当:中野

 メールアドレス:nakanoy@hc.cc.keio.ac.jp


アクセスカウンタ:

最終更新日:


中野泰志のホームページへジャンプする