卒業論文(山田浩央)
卒業論文(山田浩央)

慶應義塾大学経済学部
大平 哲研究会
メールはこちらへ

山田浩央「石垣島でのグリーン・ツーリズムのこれから」

石垣島と聞けば、サンゴ礁のきれいな海やさとうきび畑などを思い浮かべ、常夏の観光地であると考える人はかなり多いだろう。イリオモテヤマネコやカンムリワシなどの天然記念物で有名な西表島や、赤瓦の屋根に白砂の道といった伝統的な街並みが残っている竹富島などの八重山諸島の島々にいくためには、石垣島を経由する必要がある。観光地として有名な八重山諸島の島々の拠点ともなっていることは、石垣島が観光地であるというイメージをさらに強くしている。

このように観光色の強い石垣島であるが島土の3分の1以上は農地であり、島を支えてきた産業は農業である。しかし、石垣島の農業は縮小傾向にある。石垣島をフィールドとした先行研究には農業に関するもの、とくにさとうきびとパインアップルに関するものが多い。菊池(2008)、菊池(2009)が石垣島におけるパインアップルの生産および販売について考察をおこなっており、新井、永田(2002)、新井、永田(2006)および新井、永田(2009)の一連の研究ではさとうきびやパインアップルといった主要作物についての考察をおこなっている。また、崎浜(2003)のような地理的外観をまとめたものや、宇保、石垣(2011)のような新石垣空港に関するものもある。

石垣島の農業を活性化する手段に、グリーン・ツーリズムがある。石垣島では「八重山(やいま)グリーン・ツーリズム研究会」が中心となってグリーン・ツーリズムを普及させようとしている。本稿では石垣島でのグリーン・ツーリズムの現状をまとめたうえで、石垣島でのグリーン・ツーリズムの持続的な発展のためには「コーディネーター」と「窓口機関」が必要であることを示す。

この結論を示すために、1節ではまず石垣島の地理的特徴や人口などの基礎情報や、農業と観光業の詳細をまとめる。2節では新しい観光の1つの形態であるグリーン・ツーリズムについて説明した後、グリーン・ツーリズムに対する沖縄県の取り組みや、石垣島で実際におこなわれているグリーン・ツーリズムについてまとめる。3節では沖縄県内から伊江島と宮古島の2地域をグリーン・ツーリズムが発展している成功例として紹介し、これからの石垣島でのグリーン・ツーリズムに必要なものを考察する。

目次

はじめに
1 石垣島について
 1-1 石垣島の基礎情報
 1-2 石垣島での農業
 1-3 石垣島での観光業
2 グリーン・ツーリズム
 2-1 グリーン・ツーリズムとは
 2-2 沖縄県のグリーン・ツーリズムへの取り組み
 2-3 石垣島でのグリーン・ツーリズムの現状と課題
3 石垣島でのグリーン・ツーリズムのこれから
 3-1 成功例
 3-2 石垣島でのグリーン・ツーリズムに必要なもの
おわりに
参考文献

参考文献

ウェブサイト内の資料については、その資料を確認した日付を最後の( )内に記しています。記載されているURLは( )内の時点で確認したものなので、その後、URLが変更されている可能性があります。