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(※注 以下、順位、タイトル、ニュース記事、解説の順で並んでいます)
第1位
日本市場復権の兆し!?
 米同時テロ事件の余波で国際穀物取引の停滞が懸念されているが、米大手商社が東京穀物商品取引所の先物相場を指標として活用し、商談を進めていることが13日分かった。穀物取引のメッカであるシカゴ商品取引所(CBOT)が2日間にわたり立ち会い停止を余儀なくされたためで、普段は国際的にはほとんど注目されない東穀取が存在感を示した格好だ。
(時事通信/ヤフーニュース9月13日)
 
 テロ事件で打撃を受けたアメリカ経済に、日本が手助けできる方法があったのだ。自由な経済取引が世界経済を支えていることは、今や世界の常識であり、その取引を行う取引所はいつも決まった時間に開いていなければならない。ところが、テロ事件でアメリカでの株式、債券、外国為替、穀物、原油などの取引所が開けない状態に陥った。
 そこで、白羽の矢が立ったのが日本の東京穀物商品取引所だった。テロ事件の直接的被害を受けなかったため、東京ではいつも通り決まった時間に取引ができる状態だった。テロ事件の後でも、人々は自由な経済取引を欲しているわけで、そういう人たちにとって自由な経済取引ができる場が必要なのだ。その格好の場所を、東京で提供できた。バブル崩壊以降、日本のあらゆる取引所の国際的な地位は下がる一方だったが、こうした貢献を契機に、国際的に日本の取引所の役割を再認識してもらえるかもしれない。これが日本でかつてのような活発な経済取引が復活する契機となれば、日本経済の将来も決して暗くない。
 
第2位
構造改革の進展は株価を上げる
 十四日の東京株式市場では日経平均株価が急伸し、三日ぶりに一万円の大台を回復した。マイカルが法的整理に向けた手続きに入ると伝わり、銀行の不良債権問題の進展期待が高まった。
(日本経済新聞9月15日朝刊)
 
 「不良債権処理が進めば株価は上がる」と一部の識人は以前から指摘していたが、これが現実となった出来事である。目下、日本で株価が下がっているのは、銀行の不良債権問題がいつまでたっても解決しないことが大きな要因となっている。銀行は抱えている不良債権がいつまでたっても減らないので、積極的に企業にお金を貸せない。企業はお金を借りられないから、積極的にお金を注ぎ込んで儲かるビジネスをなかなかできない。企業が儲からないから企業の株価が上がらない。株価が上がらないから、企業はビジネスに必要なお金を株式市場で調達できないうえに、銀行もなかなか貸してくれないから、ますます儲からない。銀行の不良債権問題が解決すれば、この悪循環を絶つことができ、健全な企業には活路が開かれると予想できるから、株価が上がるのである。
 確かに、マイカルの破綻で直接的な不利益に直面した方々にはお気の毒な話ではあるが、これも世のため、人のため、日本経済のためと思って落胆しないでいただきたい。さらにいえば、今後銀行の不良債権処理に伴ってリストラや倒産を余儀なくされる会社やその関係者の方々にも、同じメッセージを送りたい。
 
第3位
テロリストのインサイダー取引を許すな
 証券取引等監視委員会は14日、米国で起きた同時テロ事件の黒幕とされるウサマ・ビン・ラディン氏に関し、テロの前後を通じて日本国内の証券市場における取引がなかったか調査を始めた。株価の暴騰、暴落が予想した通りになれば巨額の利益が得られる仕組みになっている先物取引を中心に、数日分の取引状況を精査、同氏に該当するケースがないか調べている。
(時事通信/ヤフーニュース9月15日)
 
 テロリストは、軍事的にだけでなく経済的にも自由主義社会に重大な挑戦をしている可能性がある。テロリストは自ら9月11日にテロを計画し、もし成功すれば株価が暴落すると予想できた立場にある。これはテロリスト以外の金融関係者にはできない予想である。もしテロリストが、テロ事件当日の9月11日より前に売り注文を出して、事件後に買い戻すという先物取引の売買をしていれば、実際にテロ事件後に株価が下がったから、その株価の差額分だけ利益が得られる。この手法で、テロリストは欧州の証券・為替市場で巨利を得たとの情報があることを、ニュースでは伝えている。テロリストが巨利を得たとすれば、逆にテロ事件後に市場で大きく損をした投資家が必ずいるのである。
 この手法は、通常、インサイダー取引と呼ばれ、自由な経済取引のルールに反する許されざる行為である。なぜならば、内部情報(テロ実行の情報)をもっていれば必ず儲かり、内部情報を持っていなければ大きく損をすることになってしまうと、内部情報を持っている人だけが儲かる金融市場になってしまい、内部情報を持っていない一般の投資家が取引したくなくなって、自由な市場取引が妨げられてしまうからである。その意味で、この取引をハイジャックと同時に仕掛けたとすれば、自由主義社会に対する第2の攻撃と言えよう。日本にもこうしたテロリストの犠牲者がいるかもしれない。だから、今後我々はこうした行為を二度とさせないように警戒を怠ってはならない。
 
第4位
特殊法人改革が生ぬるいとツケは国民に
 扇千景国土交通相は21日、首相官邸で小泉純一郎首相と会い、国土交通省所管の6特殊法人の民営化案について報告、首相の了承を得た。内容は(1)日本道路公団と首都高速道路公団、阪神高速道路公団の3公団を統合し、全国の高速道の整備のめどが立った時点で特殊会社化する(2)本州四国連絡橋公団は負債の処理などを検討した上、別途民営化を検討する(3)住宅金融公庫は融資業務を中低所得者向けに絞り、特殊会社化する−が柱。国交相は道路3公団の統合について、1年以内の実現を目指す方針を明らかにした。
(時事通信ホームページ9月21日)
 
 特殊法人改革は、小泉内閣の改革の目玉の1つだが、安易な妥協が今なされようとしている。道路公団や住宅金融公庫は、高速道路や住宅ローンなどで我々の生活の身近なところにある特殊法人である。しかし、これらの特殊法人が、これまで営んできた事業で大損をしてきたことは、国民にあまり知られていない。本四連絡橋公団は債務超過状態で「破綻」状態にあるし、住宅金融公庫は、会計処理を正当に行えば、債務超過状態で民間企業でいえば「破綻」したも同然の状況である。道路3公団も持っている資産(道路)を民間企業と同じように時価評価すれば債務超過状態で、これまた「破綻」している恐れがある。「破綻」しているも同然の状態なのに、それを今すぐ清算して民営化しないで、「特殊会社」というあいまいな形で温存しようとしている。
 あいまいな形で温存すれば、債務超過額は今よりももっと膨らむ。債務超過額が膨らめばどうなるか。それは、国鉄で我々は既に経験済みである。国鉄は、最終的に28兆円の債務超過額(焦げ付いた借金)を残し、そのうち24兆円は国民が今後税金の形で負担することとなっている。つまり、特殊法人が残した債務超過額は、結局国民が税金で負担して尻拭いしなければならないのだ。今の状態でさえ、この負担は避けられないのだが、今後あいまいな形で特殊法人を温存すれば、その負担はさらに増えて「特殊法人の借金返済のための増税」も避けられなくなる。だから、特殊法人改革で妥協は許されないのである。
 
第5位
規制好きな役人に鉄槌
 名古屋地区での無料タクシー運行事業の届け出を国土交通省中部運輸局が不受理としたのは違法と主張し、大手タクシー会社「エムケイ」(本社・京都市)が同運輸局長に処分取り消しを求めた訴訟で、名古屋地裁は29日、「届け出は提出時点で効力が生じており、不受理は取り消し訴訟の対象となる処分とならない」と、届け出を有効と認めたうえで訴えを却下した。さらに加藤幸雄裁判長は「道路運送法は、経営を困難とさせるような事業でも無償でなされるものである限り、届け出により事業を行うことを許容している」と、法的に無料タクシー運行は許されるとの初の司法判断を示した。
(毎日新聞ホームページ8月29日)
 
 何かにつけ民間企業や民間人の自由な経済行為を規制で抑制しようとする考え方が、役所にははびこっている。最近では規制緩和や自由な経済取引による利益に理解のある優れた官僚が多くなってきたものの、いまだに「お上が取り締まらなければならない」と考える時代遅れの官僚が残っている。今回の判決は、法律に反して自由な経済取引を妨げた役所をとがめたものである。そもそも、官僚が法律に反した行政をしてはならないことは言うまでもない。
 そもそも、無料タクシー運行事業を行おうとした動機自体が、道路運送法で自由なタクシーの営業を厳しく規制しているからにほかならない。この会社は、その厳しい規制の抜け道をうまく見つけ出したのである。タクシー業に限らず、他の業種でも理不尽な規制が多く残っている。厳しい規制の抜け道をうまく見つければ、実は意外と新しいビジネスチャンスが広がっている。規制を緩和することは言うまでもないが、規制の抜け道を見つけて新しいビジネスが展開されれば、日本経済も活性化するだろう。
 
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