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この問題は、日本が経済の構造改革を今後本気でする気があるか否かを問う、試金石と位置付けるべき問題である。 ユニクロなど安い洋服や繊維製品を販売する小売業者が大量に中国から輸入したため、日本の繊維業界の製品が売れなくなったことがこの話の発端である。これは、安い繊維製品が輸入されてもそれに勝てない国内企業が生産した高い値段の繊維製品を、日本の消費者が今まで買わされていた証拠である。しかも、繊維業界はこの20年来構造不況産業で、政府は補助金を与えてきた。にもかかわらず、緊急輸入制限措置が発動されれば、日本の消費者は安い繊維製品が買えなくなる。わが国では生産性が低い繊維業界のために、またぞろ高い値段の繊維製品を買わされる羽目になることを、消費者は望んでいない。 この問題は単にタオル業界だけの問題ではなく、わが国経済全体の構造改革の問題
と全く同じ論点を持ち合わせている。この話は、生産性が低い産業が陰に陽に政府に圧力をかけて既得権益を温存しようとしている構図そのものである。わが国経済の構造改革に積極的に取り組む決意があるか否かが、この問題で試されている。もし措置が発動されれば、政府は消費者のためになる構造改革をする気がないともいえ、損をするのは消費者である。
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