- アメリカの政治情勢年表 2025年
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1月
・西部ネバダ州ラスベガスの「トランプ・インターナショナル・ホテル」の入り口前でテスラ・モーターズ社のピックアップ・トラックが爆発し炎上,運転手1人死亡,歩行者7人負傷,警察がテロの可能性を視野に捜査(1日)。
・バイデン大統領がトランプ次期大統領反対派で大統領選のハリス民主党候補を支持したリズ・チェイニー元上院議員らに大統領市民勲章を授与すると発表(2日)。
・トランプ次期大統領が南部ルイジアナ州ニューオーリンズでピックアップ・トラックが群衆に突っ込み15人が死亡し,FBIが実行者はISの思想に感化されたテキサス州出身の陸軍の退役軍人と特定した事件について,「バイデン政府の生ぬるい移民政策のため」に起こった事件で,選挙戦中に「入国してくる犯罪者は国内の犯罪者よりはるかに悪い」と言っていたことが立証されたとSNS上で主張(2日)。
・ニューヨーク州地裁がトランプ次期米大統領が有罪評決を受けている不倫口止め料不正処理事件について10日に量刑を言い渡すと発表,ただし禁固刑を科す考えはないと付言(3日)。
・連邦議会で2024年の大統領選挙でトランプ氏が312人,ハリス氏が226人の選挙人を獲得したことを確定し,上院議長のハリス副大統領がトランプ氏の当選を宣言(6日)。
・トランプ次期大統領がフロリダ州の私邸での記者会見,自身が関係する裁判について民主党による「司法の武器化」と非難,パナマ運河の管理権やグリーンランドの獲得のために軍事力の行使を排除しないと言明,NATO諸国の攻防費をGDP比5%に引き上げるべきだと主張(7日)。
・ニューヨーク州高裁が不倫口止め料の不正処理事件で有罪評決を受けているトランプ次期大統領に対する量刑言い渡しについてのトランプ氏側の延期の申し立てを却下(7日)。
・連邦最高裁がトランプ次期大統領の不倫口止め料不正処理事件について,10日の量刑言い渡しの差し止めを求めたトランプ氏側の申し立てをリベラル派の判事3人と保守派の判事2人の5対4で却下(9日)。
・ニューヨーク州地裁がトランプ次期大統領の不倫口止め料不正処理事件について,大統領就任を控えているため,有罪評決を維持しつつ刑罰を科さない「無条件での放免」を言い渡し(10日)。
・ガーランド司法長官がトランプ次期大統領が2020年大統領選挙の結果を覆そうとした事件の捜査を担当したスミス元特別検察官の最終報告書を公表,報告書の中でスミス氏はトランプ氏が大統領に当選していなければ裁判で有罪判決が下される十分な証拠があると判断(14日)。
・ワシントンDCでトランプ氏の大統領就任に抗議し女性の人工妊娠中絶の権利や移民の権利尊重,気候変動対策や銃規制の維持,人種差別の禁止など,憲法上の権利を主張する数千人規模のデモ隊がホワイトハウスからリンカーン記念堂まで行進(18日)。
・連邦議会議事堂のキャピトル・ロタンダ(円形大広間)でトランプ大統領とヴァンス副大統領の就任式開催,グーグル,アップル,アマゾン,メタなど大手IT企業の経営者らが出席,トランプ氏は「アメリカの黄金期は今から始まる…今日のこの日から我々のこの国は繁栄し尊敬される」と演説を開始,「この瞬間からアメリカの衰退は終わった」と強調し,アメリカ第1主義,南側国境に非常事態宣言,「外国の犯罪者数百万人」の強制送還の開始,「ジェンダーは男女の2つしかない」,化石燃料の大規模な採掘,パナマ運河の奪還,メキシコ湾のアメリカ湾への改称などを主張(20日)。
・トランプ大統領が就任式後に多数の大統領令や覚書に署名,世界保健機関(WHO)からの脱退,パリ協定からの再離脱,不法移民の強制送還,2021年1月の連邦議会議事堂襲撃事件で有罪となった服役囚約1600人に恩赦など(20日)。
トランプ大統領が就任式後に署名した主な大統領令や覚書
<移民問題>
・メキシコとの国境に非常事態宣言,軍隊を派遣し壁の追加建設,難民申請者の入国の一時停止
・不法移民の強制送還
・国籍の出生地主義の見直し
<多様性>
・ジェンダーは男性と女性のみを認める
・前政権までの「DEI」(多様性・公平性・包摂性)の取り組み終了
<国際関係>
・世界保健機関(WHO)からの脱退
・気候変動抑制に関するパリ協定(2015年12月採択)からの再離脱(1期目の19年11月に離脱,バイデン政権が21年2月に復帰)
・関税を徴収する外国歳入庁の創設の検討
・ヨルダン川西岸地区でパレスチナ人への暴力や略奪等でバイデン政権がユダヤ人入植者に科した制裁を解除
・メキシコ湾をアメリカ湾に改称
<エネルギー>
・沿岸部の新たな石油・ガス掘削禁止を禁じたバイデン政権の覚書の取り消し
・電気自動車(EV)の普及策の撤廃
<その他>
・2021年1月の連邦議会議事堂襲撃事件で有罪となった服役囚約1600人に恩赦
・アラスカ州の山デナリの名称をを旧称のマッキンリーに戻す
・トランプ大統領がロシアのプーチン大統領に対して「今すぐ和解し,ばかげた戦争をやめろ。取引が成立しなければ高水準の関税,制裁を科すしかない」と警告し,ウクライナでの戦争終結を要求(22日)。
・ワシントン連邦地裁のハウエル判事が,2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件で起訴され服役中の受刑者のほぼ全員にトランプ大統領が恩赦を与えたことに対して,大統領選で敗れた候補の支持者たちが「憲法で定められた議会の手続きを妨害し,責任を問われることなく美化される状況では,『国民和解のプロセス』は始まらない」とし,「他の敗者による将来の無法行為の危険を高め,法の支配を弱体化させるだけだ」と強く批判(22日)。
・トランプ大統領が就任式直後に署名した米国籍の「出生地主義」を廃止する大統領令について,ワシントン州シアトルの連邦地裁のクーゲナー判事がワシントン,アリゾナ,イリノイ,オレゴン4州の司法長官の提訴を認め,憲法修正14条の「明白な違反」として差し止め命令(23日)。
・トランプ大統領がスイス・ダボスで開催の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)にオンラインで出席し,NATO加盟国に国防費をGDP比5%に引き上げるべきだと主張(23日)。
・国務省報道官がトランプ大統領の命令により不法移民のグアテマラへの移送を開始したと発表,米軍輸送機2機にそれぞれ約80人を乗せて移送,軍用機を不法移民の強制送還に使用したのは史上初めて(24日)。
・トランプ大統領がイスラエルに対する大型爆弾の供与保留を解除するよう国防総省に指示,MK84無誘導爆弾1800発が数日以内にイスラエルに搬入予定,ニュースサイト「アクシオス」報道(24日)。
・連邦議会上院本会議でトランプ大統領が国防長官に指名したヘグセス氏の承認投票,共和党のマッコネル,マーコウスキー,コリンズの3議員がヘグセス氏の国防長官としての能力不足として反対投票,賛成50,反対50,上院議長のヴァンス副大統領が賛成し承認(25日)。
・トランプ大統領がヨルダンのアブドゥラ国王との電話会談で,ガザ地区は「ほとんどすべてが破壊され,人々が亡くなっている」との認識を示し,150万人の避難民をヨルダンやエジプトに移住させる構想を提案(25日)。
・トランプ大統領がヨルダンのアブドゥラ国王との電話会談で,ガザ地区は「ほとんどすべてが破壊され,人々が亡くなっている」との認識を示し,150万人の避難民をヨルダンやエジプトに移住させる構想を提案(25日)。
・エジプト外務省がトランプ米大統領が25日にガザ地区の避難民150万人のヨルダンやエジプトへの移送を提案したことに対して,パレスチナ人の定住の権利を侵害し,地域の安定を危険にさらし,紛争の拡大のリスクを拡大するパレスチナ人の一時的または長期的な移送を拒否するとの声明を発表(26日)。
・トランプ大統領がコロンビア政府が米国から強制送還された不法移民を乗せた軍用機2機の着陸を拒否したことに対して,コロンプアからのすべての輸入品に25%の関税を課し,1週間で税率を50%に引き上げ,コロンビア政府当局者の渡航禁止・ビザの取り消しなどの報復措置をとると発表,コロンビアのペトロ大統領は米国からの輸入品に対して25%の関税を課す報復措置を発表(26日)。
・ホワイトハウスがコロンビア政府が不法移民の強制送還の無制限受け入れに同意したとして同国からのすべての輸入品への25%の関税賦課を見送ると発表(26日)。
・トランプ大統領が米軍再編のための4つの大統領令に署名,トランスジェンダーの兵士の軍への入隊の禁止,DEI(多様性、公平性、包摂性)に関するあらゆる「差別的」な政策の禁止,新型コロナのワクチン接種を怠ったとして除隊された兵士の復職,次世代のミサイル防衛システムの製造手続きの開始(27日)。
・トランプ大統領が行政管理予算局(OMB)による助成金や融資などの資金拠出を一時的に停止するよう指示,ワシントン連邦地裁のアリハン判事が実行中の連邦資金からの拠出を2月3日まで停止しないよう命令(28日)。
・トランプ政権が行政管理予算局(OMB)の補助金や融資などの凍結を取り消し(29日)。
・トランプ大統領がキューバのグアンタナモ米海軍基地に不法移民3万人規模を収容できる施設を建設するよう指示(29日)。
・トランプ大統領が記者会見でワシントンDC近郊の空港の滑走路に進入中の旅客機に陸軍の輸送ヘリUH60ブラックホークが衝突し旅客機が墜落した29日の事故について,民主党のオバマ政権とバイデン政権が進めた「多様性,公平性,包括性(DEI)」政策が背景にあると主張,事故とDEIの直接的な因果関係の質問に「常識があるからわかる」と回答,同席したヘグセス国防長官,ダフィー運輸長官,ヴァンス副大統領が大統領の見解に賛意を示す(30日)。
・レビット大統領報道官がメキシコとカナダからの輸入品に対する25%の関税,中国からの輸入品に対する10%の追加関税の賦課を月1日に発表し即時発効すると発表(31日)。
2月
・トランプ大統領がカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税,中国からの輸入品に10%の追加関税を4日から賦課する大統領令に署名(1日)。
・トランプ大統領がカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を賦課する大統領令に署名したことに対して,全米製造業者協会が貿易協定の「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」を締結したことで北米の経済力が強まり、米国での雇用や投資も増加した,メキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課せば「米製造業の国際競争力を高めてきた供給網を根底から覆す」と非難,米自動車部品工業会は両国への関税は「自動車の必須部品のコストを大幅に押し上げ,追加コストは消費者に転嫁される」と批判(2日)。
・トランプ大統領がメキシコのシェインバウム大統領とカナダのトルドー首相と相次いで電話会談し,両国への25%の関税賦課を少なくとも30日間延期すると発表(3日)。
トランプ大統領がホワイトハウスでイスラエルのネタニヤフ首相との会談でガザ地区の住民の域外での恒久的定住を提案(4日)。
・トランプ大統領がイスラエルのネタニヤフ首相との会談後の記者会見で,ガザ地区について,パレスチナ人が別の土地に再定住した後に米国が所有し「中東のリビエラ」として再開発する構想を発表,ネタニヤフ首相は「注目に値するアイデア」と賞賛,サウジアラビア外務省は「パレスチナ国家の樹立なくしてイスラエルとの関係正常化はありえない」,「パレスチナ人をその領土から追い出そうとする動きなど,パレスチナ人の正当な権利の侵害を拒絶する」と非難(4日)。
・民主党の複数の下院議員はトランプ氏が「公然と民族浄化を呼びかけている」と非難(4日)。
・トランプ大統領が国連人権理事会から離脱する大統領令に署名(4日)。
・トランプ政権による中国製品への10%の追加関税が発効,中国政府は対抗措置として米国からの石炭と液化天然ガスに15%,原油,農業機械,大排気車両などに10%の追加関税を課すと発表,世界貿易機関(WTO)に提訴(4日)。
・政府効率化省のイーロン・マスク氏がトランプ大統領が国際開発局(USAID)の閉鎖を承認したと発表,ルビオ国務長官がUSAIDの局長代行を務めると宣言(4日)。
・トランプ大統領のガザ地区を米国が所有し「中東のリビエラ」として再開発するとの4日の発言に対して,サウジアラビアやヨルダンなどアラブ諸国,ハマス,ドイツ,ロシアなど国際社会が非難(5日)。
・メリーランド州連邦地裁が米国籍の「出生地主義」制度を制限する大統領令は憲法違反として19日予定の大統領令の発効を差し止める仮処分命令(5日)。
・トランプ大統領が国際刑事裁判所(ICC)の職員らを対象に米国内の資産凍結,ビザ発行の制限などの制裁を科す大統領令に署名,ICCがイスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を発行したことへの対抗措置(6日)。
・ルビオ国務長官がガザ地区は不発弾などが残され危険なため現時点で居住は不可能になっているため,復興中は住民を一時的に他の場所に移住させる必要があると主張(6日)。
・ワシントンDCの連邦地裁が国際開発局(USAID)を閉鎖し職員2200人を有給休暇にするトランプ大統領の計画をUSAIDの職員の労働組合の請願に応じて一時的に差し止める命令(7日)。
・英国のラミー外務・開発相がトランプ大統領のUSAIDを解体し国務省に統合する計画に対して,英国で2020年に国際開発相を閉鎖して外務省に統合し,翌年に対外支援予算を大幅に削減したことがソフトパワーを喪失した戦略ミスだったことを例示し,「その隙に中国などが付け入る恐れがある」と警告(7日)。
・中国政府が米国からの石炭と液化天然ガスの輸入に15%の国境税,原油,農業機械,大型車両に10%の関税を課すと発表,米国が中国からの輸入品すべてに10%の関税を課したことへの対抗措置(10日)。
・フランスのバロ外相が米国がEUからの輸入品に関税を課した場合,EUは対抗措置として同様の関税を米国に課すと警告(10日)。
・トランプ大統領がFOXニュースのインタビューでガザ地区を「中東のリビエラ」として再開発する構想について,パレスチナ人にガザ地区に帰還する権利は認められず,他の場所に恒久的な居住地が提供されると主張(10日)。
・エジプトのアブデルアティ外相がホワイトハウスでルビオ国務長官と会談しトランプ大統領が主張するガザ地区住民の域外移住について,住民がガザから去ることなしに早期のがれき除去や復興を進めることが重要だと主張(10日)。
・トランプ大統領が鉄鋼とアルミニウムの米国への主要供給国のカナダ,メキシコ,ブラジルなどへの関税の適用除外措置と無関税枠を撤廃し,25%の関税課すと発表(10日)。
・トランプ大統領がハマスに対して15日12時までに拘束中の人質全員の解放を要求し,応じなければ停戦合意が破棄され「地獄が訪れることになる。全てが白紙に戻る」と警告(10日)。
・ヴァンス副大統領が「政府効率化省」の財務省管理の個人情報へのアクセスを差し止めた連邦地裁判事に対して,「裁判官が行政の適法な権力を縛ることは許されない」とSNSに投稿,三権分立を否定する内容(10日)。
・ホワイトハウスがAP通信がメキシコ湾をアメリカ湾に改称するトランプ大統領の大統領令に従わずメキシコ湾の表記を維持しているとして,AP通信の記者の大統領執務室での取材を禁止(11日)。
・トランプ大統領がロシアのプーチン大統領と電話会談しウクライナとロシアの戦争終結に向けて米ロで交渉を開始することで合意したと発表,トランプ氏とヘグセス国防長官はウクライナが(ロシアがクリミア半島を一方的に併合した)2014年以前の国境に復帰するのは非現実的との認識を表明(12日)。
・トランプ大統領が貿易の不均衡を是正するために相が関税の計画を検討するよう関係機関に指示(13日)。
・ドイツで開催されたミュンヘン安全保障会議の基調演説でヴァンス米副大統領が欧州の民主主義に対する新教委はロシアや中国ではなく,「私が懸念しているのは内部からの脅威,つまり欧州が米国と共有する最も基本的な価値観から後退していることだ」と主張,ピストリウス独国防相はこの発言について「受け入れられない」と反発し,ドイツだけでなく欧州全体の民主主義に疑問を投げかけたと反論,EUのカラス外交安全保障上級代表も米国が欧州に「けんかを売ろうとしている」ように感じられたと批判,トランプ大統領は副大統領の演説は好意的に受け止められたと主張(14日)。
・ウクライナのゼレンスキー大統領がトランプ大統領のゼレンスキー大統領がロシアとの戦争を始めた,国民に不人気で支持率は4%(ウクライナの世論調査では支持率57%)との18日の発言に対して,トランプ大統領は「偽情報」に基づいて誤った主張をしていると非難,トランプ氏はゼレンスキー大統領を「選挙なき独裁者」,「早く行動しなければ国は残らないだろう」とSNSに投稿,イギリスのスターマー首相はゼレンスキー大統領との電話会談後にゼレンスキー氏は民主的に選ばれた指導者と支持を表明(19日)。
・ワシントンポスト紙とイプソスの共同世論調査(2601人対象)でトランプ大統領は越権行為をしたとの回答が57%,就任からの仕事の肯定的評価が43%,否定的評価が48%,トランプ氏とマスク氏による政府支出削減について66%が議会の承認を得るべきだったと回答,連符支出削減や人員削減について84%が裁判所の判断に従うべきと回答(20日)。
・ウォルツ大統領補佐官(安全保障担当)が6月開催予定のNATO首脳会議までにNATO加盟国は国防費をGDP比2%に増額する必要があると主張(20日)。
・G7が24日にロシアのウクライナ侵攻から3年を機に共同声明の準備を進める中で,米国の特使らが「ロシアの侵略」との文言を盛り込むことを拒否していると欧州G7当局者が発表(21日)。
・トランプ大統領がラジオ番組のインタビューでロシアのウクライナ侵攻についてプーチン大統領の責任を認めず,プーチン氏が望めばウクライナの「全土を占領できるだろう」と述べ,ゼレンスキー大統領が戦争終結を「難しくしている」と主張(21日)。
・トランプ大統領がブラウン統合参謀本部議長を解任したと発表,ヘグセス国防長官が海軍作戦部長のリサ・フランチェッティ中将と空軍ナンバー2のスライフ空軍副参謀総長の解任を発表,ブラウン氏は故パウエル氏に次いで2人目の黒人統合参謀本部議長,フランチェッティ氏は女性初の作戦本部長,3人ともバイデン前大統領が任命,ヘグセス氏は2024年の著書でフランチェッティ氏を「DEI(多様性・公平性・包摂性)枠で雇われた人物」と言及,ブラウン氏らの解任はトランプ政権のDEI政策否定の一環(22日)。
・メリーランド州連邦地裁がトランプ大統領によるDEI推進プログラム禁止を合衆国憲法の言論の自由の権利を侵害する可能性が高いとして一時的に差し止め(22日)。
・トランプ大統領がワシントンDC近郊で開催の保守政治行動会議(CPAC)での演説で,バイデン前政権がウクライナに供与した軍事・経済支援などの見返りとしてウクライナのレアアースなどの鉱物資源5000億ドル相当を要求していると発表,2025年1月初めまでの国防総省の対ウクライナ安全保障支援総額は665億ドル,財政・人道支援額を含めても1198億ドル(22日)。
・トランプ大統領がホワイトハウスでのフランスのマクロン大統領との会談後の記者会見で,ウクライナへの支援について,「米国は3000億ドル以上を費やしているが,欧州は1000億ドル程度だ」と事実に反する主張,マクロン氏は会談中にトランプ氏の認識の誤りを指摘したが再び誤情報を主張,ドイツのキール世界経済研究所によれば昨年末までのEUと欧州諸国の支援総額は2580億ドル,米国は1240億ドル,軍事・財政・人道援助総額は欧州が1380億ドル,米国は1190億ドル,軍事援助は欧州650億ドル,米国665億ドル(24日)。
・トランプ大統領が500万ドルを支払えば永住権を獲得できる新制度「トランプ・ゴールドカード」の創設を発表(25日)。
・国務省が国際開発局(USAID)が締結した複数年の対外援助契約を含む対外開発援助計画の予算を92%,540億ドル削減すると発表(26日)。
・ホワイトハウスの大統領執務室でトランプ大統領とゼレンスキー大統領が会談,記者団の前での両者の対談でゼレンスキー氏がロシアを信用して譲歩すべきではないと警告,トランプ氏は「米国を侮辱した」と非難,口論となりウクライナの鉱物資源の開発についての合意への署名と共同記者会見を見送ってゼレンスキー氏は退出し会談は決裂,同席したヴァンス副大統領は「報道陣の前で訴えるのは失礼だ」と反発。トランプ氏も「取引しないなら我々は撤退する」と怒りの表情でコメント(28日)。
<トランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談の決裂を受けた欧州首脳の反応>
・ドイツのショルツ首相:「ウクライナの国民以上に平和を望んでいる者はいない。だからこそ我々は永続的で公正な平和への道をともに模索している。ウクライナはドイツ,そして欧州に頼ることができる」
・フランスのマクロン大統領:「ロシアは侵略者で,ウクライナは侵略された側だ。3年前,ウクライナを支援しロシアに制裁を科したことは正しい措置で,我々は今後もそれを続ける」
・EU欧州委員会のフォンデアライエン委員長:「ゼレンスキー氏の尊厳はウクライナ国民の勇気を称賛している。強く勇敢に,恐れずにいてもらいたい。あなたは決して一人ではない」,「我々は公正で永続的な平和のためにあなた方との連携を続ける」
・スペインのサンチェス首相:「スペインはウクライナとともにある」
・ポーランドのトゥスク首相:「親愛なるゼレンスキー大統領、親愛なるウクライナの友人たち、あなた方は一人ではない」
・EUのカラス外交安全保障上級代表:
「ウクライナは欧州の一部だ。我々はウクライナとともにある」,「ウクライナが侵略者に対して反撃を続けられるよう,我々はウクライナへの支援を強化する」,「自由世界には新たな指導者が必要であることは明らかだ。この課題に取り組むのはわれわれ欧州人だ」
・ハンガリーのオルバン首相:「強者は平和を,弱者は戦争を生み出す。トランプ大統領は勇敢に平和のために立ち上がった。トランプ大統領に感謝する!」(28日)。
<私のコメント>
トランプ氏は第1次政権期に前任者のオバマ大統領が「核兵器なき世界」の提唱演説や「イスラム社会との和解」演説などでノーベル平和賞を授与されたことへの「対抗意識」から,同賞を獲得することを強く望んできたがかなわなかった。
彼が大統領に再選され,ノーベル平和賞の獲得という悲願達成のために,自分の手によってウクライナでの戦争を終わらせたとの功績をあげることを最優先し,ウクライナ東部や南部のロシアの占領地をロシア領と認めることで,プーチン大統領に停戦に合意させようとしている。合意後のウクライナの安全保障を確約せず,ウクライナを交渉に参加させないのは,ロシアに有利な条件を提示してロシアの停戦合意をすることを促すためと思われる。
ゼレンスキー氏がトランプ氏との会談冒頭で「警告」したのはトランプ氏の意図を読み取り,釘を刺したのだろう。トランプ氏の国際社会に対する強権的・独裁的政策に反発する欧州各国(親ロシアのハンガリーを除く)が直ちにウクライナへの連帯と支援を表明したのは当然であり,ゼレンスキー氏はそのことを予測して「警告」という手段を選択したのかもしれない。
・元国防長官5人(民主党政権期のウィリアム・ペリー,レオン・パネッタ,チャック・ヘーゲル,ロイド・オースティン,第1次トランプ政権期のジェームズ・マティス)がトランプ大統領がブラウン統合参謀本部議長やフランチェッティ海軍作戦部長を解任したことについて,「トランプ大統領の行動は完全志願制の兵力を損ない,国家安全保障を弱体化させる」として連邦議会に対して後任人事を承認しないように求める書簡を公表(28日)。
3月
・ルビオ国務長官が40億ドル規模のイスラエルへの軍事援助の指示に署名(2日)。
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