諸君には「統計学」が必修科目として課せられている。経済を分析するためには統計学の知識は不可欠だと考えられているからである。(経済現象だけではなく、さまざまな現象を計量的に分析しようとするための作法として統計学は必須の知識である。)
ところが統計学では、時間数に比して学ぶことが多く、実際のデータを用いた演習が不足しがちである。(もちろん担当者による差異はある。)また、演習の際の計算に用いられているのは電卓であることが多いようである。(これには、学期末試験の際に持ち込みを許可できる計算のツールが電卓だけである、という事情もある。)
しかしながら、諸君が三田に来て直面するのは、実際に大量のデータを使った分析であり、その際には電卓での計算などはほとんど考えられず、多くの場合はコンピュータを駆使して計算せざるをえなくなる。
この授業では、統計学の知識に基づいて(…といっても現実には忘れてしまっている学生が多いので、復習をかねた話を混ぜながら)、統計学で学んだことをコンピュータで処理する方法、さらには、その前後で必要となるまざまな処理法(たとえば、経済データを日経NEEDSなどの各種データベースから収集する方法など)について身につけてもらう。
このデータ処理の際に使われるツールの一つが表計算ソフトMicrosoft Excelである。このExcelは手軽でよく使われているツールではあり、基本的な考え方を理解して使えば、さまざまなことができ、また大量の作業を楽にこなせる。しかしながら、実際の使われ方を見ると、その基本的な考え方が理解されておらず、同じことをやるにしても余計な手間をかけていることが多いのである。Excelを使いたおすための基本的な考え方を理解し、効率よくさまざまな処理ができるようにすることも習得してもらう。
この授業を通じて、統計学の知識をより確実なものにし、実際のデータ処理にも強くなってもらおう、というのが、担当者のねらいである。
授業では次の項目を扱う。
授業は(原則)全て対面で実施する。
この講義では、ただ私の授業を受動的にきいているだけでデータの分析に強くなれるわけではない。こういうものは頭で理解しただけではダメで、あくまで自分で何度かやってみて慣れないと身につかないというのが経験の示すところである。それなりの負荷がかかることは覚悟のうえ受講して欲しい。(私がどのような考えで講義をやっているかについては、私の担当する自由研究セミナーの講義要綱を読めばわかるはずである。この講義も同じ考えに基づいて行なう。)
この授業は、Windows PCの基本的な使い方について知っていることを前提として授業をすすめていくので、それがわかっていない場合には授業についていけない。
またこの講義は統計学を学んでいることを前提として講義をすすめることになる。三田で開講するので履修をしていない学生はいないはずであるが、理解が足りなくて未だに単位をとれていない学生には内容を理解するのは難しい可能性がある。
講義中での演習はインフォメーション・テクノロジー・センターのWindows PCを利用する。そのため、ITCのアカウントを使えるようにしておく必要がある。またレポートの提出はkeio.jp授業支援を利用するので、keio.jpのアカウントを使えるようにしておく必要がある。
本講義についての詳細な情報は私のWebサイトの中にある講義情報のページ(URLはhttp://web.econ.keio.ac.jp/staff/akab/lecture/)で提供する予定である。教科書・参考文献についても、(もし使う場合には)このページで告知する。
なお、この科目は1回目から講義をおこなう。必ず1回目の講義に出席して受講すること。
授業は対面で行われる。履修希望者数が教室定員を超えた場合には抽籤により履修制限を行う。
成績評価は、提出されたレポートに対する評価に基づいて行われる。