授業科目名
自由研究セミナー(経済学部生のためのWord/Excelによる情報処理再入門)
担当教員
赤林 由雄
授業科目の内容

諸君が大学において研究を進めていくにあたっては、さまざまな形の情報を処理していかなければならない。たとえばさまざまな統計からデータを引っ張ってきたり、さまざまな情報を収集・検索したり、計算をしたり、グラフを描いたり、文献の整理をしたり、大量の文章を書いたり、編集したりする必要がでてくるだろう。しかし扱うべき情報が膨大な場合、できるだけ効率よくおこなっていかなければ、時間はいくらあってもたりなくなる。手と電卓と鉛筆と定規と紙のカードだけで対処しようとしたら日が暮れてしまう。コンピュータはそのような情報処理をおこなうための強力なツールの一つである。

経済学部における経済学・統計学・数学・専門科目などの講義においてもこれらのツールを活用することが求められることは言うまでもない。

また研究の過程において、ネットワークを通じたさまざまな形での情報の受発信をしなければならない局面が発生する。ここで諸君はネットワークを介して(極端に言えば)全世界と対峙することになるわけだが、さまざまな危険から我が身を守らなければならなくなることは覚悟しなければならない。と同時に自らが無意識のうちに加害者とならないように常に心がける必要もある。

経済学部の情報処理科目は、今後、諸君が経済学部で研究や情報の受発信をするために必要となるようなさまざまな情報処理の知識を修得することを目的として設置されている。

その情報処理科目の中に、2012年度まで「情報処理I(Windows入門)」が設置されていた。コンピュータを使った情報処理の第一歩、すなわちWindows搭載のパーソナル・コンピュータ上での文書処理(作成・編集・加工など)・データ処理(計算・グラフの作成など)・情報の受発信(Eメール・WWWなど)の方法、ネットワーク社会の中で自らを守り、加害者にならないための基礎知識についての講義と演習、というのがその内容である。その科目が設置されなくなる、というのは、高校で「情報」科目が必修となっている今、多くの学生にとっては、教えられるまでもなく、その内容を理解している、というのが経済学部の判断だったのだろう。

しかし、過去、いろいろな学生に接してきたが、本当に学生がPCを使いこなせているのか、といえば、かなり怪しいと考えている。WordやExcelは、直観的に使ったとしてもなんとか使える。しかし勘所を押さえた使い方をしないと、いつまでたってもバリバリ使えるようにはならないのである。Windows入門という導入科目はなくなってしまったのだが、そういう知識を身につける必要はあるのではないか、と私は考えている。

私の授業の目標は「短期間でバリバリ使えるようになる」ことである。しかし本当に使えるようになるのは実はそう容易なことではない。この講義が行われるのはあくまで大学である。街のいわゆる「パソコンスクール」のようにインストラクターがマンツーマンでついて手取り足取り教えたりはしない。半期のたった14回しかない講義で諸君はさまざまなことを修得しなければならないのである。もちろんソフトのすべての機能について講義の時間内に触れるわけにはいかないのだ。

そのような制約の下で「使える」ようになるために、この授業ではどうするのか。もちろん授業中には概略を説明するだけである。あとは各自で参考書やソフトのヘルプなどを読みながら自分で考え、悩み、苦しみながら大量の演習を授業時間外にこなしてもらうことになる。また、そういうプロセスを経なければまともに使えるようにはならないというのが永年にわたる経験の示すところであり、それが私の信念でもある。くどいようだが、ここは大学であり、諸君は大学生である。教えてもらわなければわからないとか、習った範囲以外の演習はこなせない、というのではあまりにも情けない。示唆をうけたら自分で調べてやってみる。いろいろ自分なりに工夫してみる。これが使えるようになる唯一無二の道である(と私は信じている)。

これまで私の授業は学生からはきびしいという評価を受けてきている。それは「簡単にはできない課題」が毎回のように出される(と学生は感じるらしい。実は3回に2回の割合なのだが)からである。しかし簡単に答えがでるようなものをやってみたところで「使える」ようにはならないし、つまらないだけである。自分の頭で考えぬき、試行錯誤を繰り返したうえでクリアできてこそおもしろいのではないか、と私は思う。そしてそれらの課題はあとあと必ず直面するような問題に役立つものを厳選してある。諸君を虐めるために無駄にきびしくしているわけではない。

しかしながらこのやり方になじむ学生はそう多くない。だが受講してみて本当に使えるようになったという学生も少なからずいることも確かである。経験者にとってもよい復習となるだけでなく、新たな技巧や知識の修得の機会となるだろう。とはいうものの、やることはWordやExcelを使ったものに限られるわけであるし、初心者の少し上をターゲットとした講義であるから、WordとExcelについてある程度の知識がある学生にとっては既知のことばかり教えられることになる可能性もある。そういったことを承知の上で履修してほしい。

教科書
最初の講義で指示する。
参考書
最初の講義で指示する。
授業の計画

講義の全般的な内容は次のとおりである。

  1. コンピュータの基礎知識
  2. Microsoft Wordによる文書処理(作成・入力と編集・印刷)
  3. Microsoft Wordによる文書処理(書式に関する基礎知識・文書全体・段落・フォント)
  4. Microsoft Wordによる文書処理(表、オブジェクト)
  5. ネットワークを通じた情報の受発信・収集(電子メール、WWW)
  6. ネットワークを通じた情報の発信(ウェブページの作成、HTML)
  7. 情報倫理(ネットワークを経由した攻撃への対応)
  8. 情報倫理(ネットワーク上で加害者にならないための基礎知識)
  9. Microsoft PowerPointを用いたプレゼンテーション
  10. Microsoft Excelを使ったデータ処理(ワークシートに関する基礎知識)
  11. Microsoft Excelを使ったデータ処理(式・セルの参照)
  12. Microsoft Excelを使ったデータ処理(さまざまな関数)
  13. Microsoft Excelを使ったデータ処理(応用処理)
  14. 経済統計データの収集と加工
その他
レポート

担当者から履修者へのコメント

授業内容の項目に記したように、私の授業の進め方はハードである。私の授業の進め方や話し方について違和感を感じる学生は少なからずいる。私のキャラクターは以上の文章からもある程度予想できると思うし、第一週目に出席することで間違って履修してしまうということはなくなるはずである。この文章をよく読み、必ず第一週目に出席をして話をきいた上で、履修するかどうかの判断をして欲しい。

なお、この講義を受講するためには、インフォメーション・テクノロジー・センター(ITC)のアカウント、ならびにkeio.jpのアカウントを使える状態にしておく必要がある。ガイダンス期間中に行われるネットワーク活用ガイダンスにおいてこれらのアカウントの利用についての説明があるので、ネットワーク活用ガイダンスにも必ず出席すること。

また自由研究セミナーという科目の性格上、履修希望者が20名を超えた場合は履修制限を行う。第1回目の講義の際に事前登録を行うので、履修希望者は必ず出席すること。履修制限を行う場合、この事前登録を行ったものを優先的に扱う。(ただし事前登録者数が20名を超えてしまった場合には、事前登録者の中から抽籤するので、事前登録者が必ず履修できるわけではない。)

成績評価方法

成績評価は提出されたレポートに対する評価に基づいて行われる。