津谷典子


個人基本情報
氏名:
津谷典子 [つや・のりこ]
職位:
教授
研究室:
研究室棟636B
略歴:
最終取得学位:
Ph.D.・社会学(専攻分野:人口学&計量分析法)・米国シカゴ大学
受賞学術賞:
所属学会:
  • 日本人口学会・理事(研究企画委員会委員長、大会企画委員会委員)
  • 家族社会学会
  • Population Association of America
  • Social Science History Association
  • International Union for the Scientific Study of Population
教育活動
担当科目(2007年度)
[通学課程]
人口論、研究会、自由研究セミナー、人口論・社会環境論特論(研究科)、人口論演習・社会環境論演習(研究科)
教育方針:
[人口論(学部)]
本コースは人口増加、人口高齢化、出生率低下や結婚行動変化などの人口動向の主要項目について、それらを理論的に定義・検討し、その変化の傾向と社会経済的および歴史文化的要因を考察し、その政策的含意と人口動向の将来展望について考える。さらに本コースでは、人口分析の諸方法について理解を深めるため、人口統計の読み方や人口指標の算出方法についても手ほどきする。授業は講義を中心に、学生との質疑応答を組み合わせて行う。できる限り多くの実証データを用い、日本と他の先進国、およびアジア諸国やアジア以外の発展途上国との比較・対照することで授業を進める。学生の理解度の把握は定期試験の成績と講義への出席を加味して行う。
[研究会(3・4年)]
本研究会は人口学の主要研究領域である人口増加、人口の年齢構造と高齢化、死亡と死因、出生と家族形成、結婚と家族・世帯、都市化と人口移動、ジェンダーと人口問題などについて、理論的枠組と統計を使っての計量分析の方法を学ぶことを目的とする。3年生時の春学期は、英分および和文の文献を基に人口学の基礎理論を学習し、また人口統計データを使って人口統計分析の基礎を実習する。秋学期には、さらに専門的な応用をめざし、卒業論文の準備のため各自が研究テーマを選び、既存文献の収集・検討を行う。また、データ収集や分析についても各自計画を立てる。4年生時は、卒業論文の作成に集中するが、中間報告としてクラスで報告を随時行う。
[自由研究セミナー]
本コースは人口と経済発展、人口と環境・資源、死亡と保健衛生、出生・家族形成と女子就業、ジェンダーなど、人口学が取り扱う様々なトピックについて、短い英文論文を読み、それに関するクラスでの発表と討論を通して、人口問題に関する基礎知識を習得し理解を深めることを目的とする。本コースで取り上げる論文は、比較的平易かつ具体的内容をもつものを、現在わが国および国際社会が置かれている状況を考慮して講師が選択する。学生の理解度把握はクラスでの発表、各学期末のレポート、クラスでの自由討論への参加などを加味して総合的に行う。
[人口論・社会環境論特論(研究科)]

本コースでは、わが国をはじめとする先進諸国およびアジア諸国における人口変動について、近年の人口学および経済学における理論的および計量分析的展開を理解し、それを学生諸君自身の実証的分析に基づく研究に応用するため学習する。特にここでは、人口高齢化や少子化などに関する形式人口学的けんきゅうと、ライフコース分析を中心とした多変量解析モデルを用いた研究に関する内外の文献を購読し、その理論的かつ統計的意味を検討する。

[人口論演習・社会環境論演習(研究科)]
本コースは近年の人口学研究法の主流をなす個票データを用いた様々な多変量解析の手法について、実際の応用例を多数検討することにより、各モデルの用途およびその長所・短所について学ぶことを目的とする。そのために、最近刊行された英文学術論文を読み、そこで用いられる分析モデル、データ、変数について検討し、分析結果を解釈・理解する。授業は、(1)各週学生1名が論文についてレジュメを予め準備しクラスで報告し、(2)それについて質疑応答とクラス討論を行い、(3)講師が説明とまとめを行うことで進める。また学生諸君の研究について、データの入手や分析方法について個別に指導し、研究結果をクラスで報告する機会も与える。
研究活動
専攻・研究領域:
人口学
現在の研究活動
 
研究課題名:
豊かな人間像の獲得:家族と人口変動の現場からの考察
途中経過及び今後の計画:
18世紀から現在までの長期的視点に立ち、家族の変容が今後のわが国の人口変動に与える影響と意味を考察することにより、次世代の再生産を担う社会単位である「家族」という視点から、人口変動の下での社会の持続性にとって必要な人間像を探ることを目的とする。そのため、進行する少子化とその最大の要因である家族変動に焦点をあて、その文化・歴史的背景、社会経済的要因、社会政策的対応について、@欧米諸国および他のアジア諸国との国際比較、A過去・現在・未来という時間の視座、という分析軸を設定して検証を行っている。
研究課題名:
長期的視点による人口変動とその構造的要因
途中経過及び今後の計画:
本研究は、17世紀初期以降現在までの約400年間におけるわが国の人口変動のパターンとその構造的要因を、政府によるマクロ人口統計と、1819世紀の宗門・人別改帳および戦後の大規模調査などから得られるミクロ・データを用いて解明しようとする試みである。ここでは、人口規模・構成といった人口静態、および直接的要因である出生・死亡・結婚などの人口動態について、そのパターンを明らかにするための形式人口学的分析と、その構造的要因を探るための多変量解析を組み合わせて分析を行っている。
    
研究課題名:
豊かな人間像の獲得:家族と人口変動の現場からの考察
途中経過及び今後の計画:
18世紀から現在までの長期的視点に立ち、家族の変容が今後のわが国の人口変動に与える影響と意味を考察することにより、次世代の再生産を担う社会単位である「家族」という視点から、人口変動の下での社会の持続性にとって必要な人間像を探ることを目的とする。そのため、進行する少子化とその最大の要因である家族変動に焦点をあて、その文化・歴史的背景、社会経済的要因、社会政策的対応について、@欧米諸国および他のアジア諸国との国際比較、A過去・現在・未来という時間の視座、という分析軸を設定して検証を行っている。
研究課題名:
近世日本の人口とライフコース−国際比較の視点から−
途中経過及び今後の計画:
18〜19世紀の近世後期日本における人口とライフコースの特徴と決定構造を、宗門改帳や人別改帳などの歴史資料から構築されるミクロ・データを用いて明らかにすることを目的とする。本研究はまた、平成7〜11年度に実施された文部省科学研究費創世的基礎研究「ユーラシア社会の人口・家族構造比較史研究」の一環として行われた日本の宗門・人別改帳と同質かつ同時期の史料の存在する4カ国(中国、イタリア、ベルギー、スウェーデン)の研究者との経済と家族システムの人口変動への影響に関する国際比較研究を、発展・継続するものである。
主要業績:
[単著論文]
津谷典子 2006 「わが国における家族形成のパターンと要因」『人口問題研究』第62号第1・2号、pp.1-19.
      
津谷典子 2005 「少子化と女性・ジェンダー政策」『少子化の政策学』(大淵・阿藤編)、原書房、pp. 157-187.
津谷典子 2005 「少子化の人口学的背景と将来展望」『社会政策学会誌』第14号、pp.3-17.
津谷典子 2003 「北欧諸国の出生率変化と家族政策」『人口問題研究』第59巻第1号、pp.49-80.

津谷典子 2002 「男性の家庭役割とジェンダー・システム−日米比較の視点から−」『ジェンダーと人口問題』(阿藤・早瀬編)、大明堂、pp. 167-219.

津谷典子 2001 「近世日本の出生レジーム−奥州二本松藩農村人別改帳データのイベント・ヒストリー分析−」『歴史人口学のフロンティア』(速水・鬼頭・友部編)、東洋経済新報社、pp. 219-244.

Tsuya, Noriko O. 2001 "Patterns of Fertility and Nuptiality in a Fishing Village in Southwestern Tokugawa Japan." In T. Liu et al. (eds.), Asian Population History. Oxford: Oxford University Press, pp. 107-151.

Tsuya, Noriko O. 2000 "Women's Empowerment, Marriage Postponement, and Gender Relations in Japan: An Intergenerational Perspective." In H. B. Presser and G. Sen (eds.), Women's Empowerment and Demographic Processes. Oxford: Oxford University Press, pp. 319-348.

[共著論文]
Tsuya, Noriko O., Larry L. Bumpass, Minja K. Choe and Ronald R. Rindfuss. 2005 "Is the Gender Division of Labour Changing in Japan?" Asian Population Studies 1 (1): 47-67.
 
Tsuya, Noriko O. and Satomi Kurosu 2005 "Demographic Responses to Short-term Economic Stress in Eighteenth- and Nineteenth-Century Rural Japan." In R. Allen, T. Bengtsoon and M. Dribe (eds.), Living Standards in the Past. Oxford: Oxford University Press, pp. 427-460.

Tsuya, Noriko O. and Napaporn Chayovan 2003 "The Economic Crisis and Desires for Children and Marriage in Thailand." Southeast Asian Studies 40 (3): 327-349.

Tsuya, Noriko O. and Satomi Kurosu 2000 "Mortality Responses to Short-term Economic Stress and Household Context in Early Modern Japan." In T. Bengtsson and O. Saito (eds.), Population and Economy: From Hunger to Modern Economic Growth. Oxford: Oxford University Press, pp. 421-455.

[編著書]
阿藤 誠・津谷典子 2007 『人口減少時代の日本社会』原書房.

Tsuya, Noriko O. and Larry L. Bumpass (eds.) 2004 Marriage, Work, and Family Life in Comparative Perspective: Japan, South Korea, and the United States Honolulu: University of Hawaii Press.

Tsuya, Noriko O. and James W. White (eds.), Collaboration and Comparison in International Social Science Research. New York: Social Science Research Council.

Mason, Karen O., Noriko O. Tsuya, and Minja K. Choe (eds.) 1998 The Changing Family in Comparative Perspective: Asia and the U.S. Honolulu: East-West Center.

閲覧者へのメッセージ:
上記の「研究活動」で記した研究プロジェクト以外にも、現在携わっている研究プロジェクトが3つある。ひとつは、米国の研究者と共同で行っている"Innovations in Early Life Course"と題されたわが国の人口・家族行動における最近の変化と今後の動向に関する実証分析研究であり、2つ目はUNECEにより提唱され、先進諸国で実施が計画されているGeneration and Gender Surveyのための「世代とジェンダー」の視点からみた少子高齢社会に関する国際比較研究である。これは、国立社会保障・人口問題研究所のメンバーと共同で実施している。そして3つ目は、経商連携21世紀COEプロジェクトの一環として実施しているタイとわが国の社会経済状況の人口および家族・世帯への影響に関する実証研究であり、タイのチュラロンコーン大学人口研究学部と共同で実施している。