大平 哲


個人基本情報
氏名:
大平 哲 [おおひら さとし]
職位:
准教授
研究室:
略歴:
1986年慶應義塾大学経済学部卒業、88年慶應義塾大学大学院修士課程修了、91年慶應義塾大学大学院博士課程単位取得退学、91年慶應義塾大学経済学部助手、2005年より助教授(准教授)
最終取得学位:
経済学修士。慶應義塾大学
受賞学術賞:
所属学会:
日本経済政策学会
教育活動
担当科目(2007年度)
[通学課程]
研究会、格差と援助の経済学、演習、日本語IIIb、研究プロジェクト(コーディネーター)
[通信教育課程]
なし
教育方針:
各授業で多様なテーマを取り上げているが、すべてに共通しているのは「格差について考える」ことである。格差はなぜ発生するのか、格差は解消すべきものなのか、解消すべきであるとしたらどのようにするのか、とくに援助の役割はどのように評価するべきなのか、という理論的関心がどの授業でも根底にある。どの授業でも学生との対話を工夫している。
研究活動
専攻・研究領域:
開発経済学、プロジェクト評価、沖縄経済論
現在の研究活動
研究課題名:
開発プロジェクト評価の理論的検討
途中経過及び今後の計画:
国際協力銀行の円借款業務の事後評価作業を実際に手がけながら、評価の基礎にある経済理論の整理をしている。援助プロジェクトの現場での調査を活用しながら、理論と実務の架け橋になるような整理を目指している。ここ2年間は実務側に視点をおいた報告書の執筆に重点をおいてきたが、今年度からその基礎にある理論の整理に力を入れる。
研究課題名:
小国の経済発展
途中経過及び今後の計画:
人口、資源が稀少で、大市場から地理的に隔絶している島嶼圏、内陸国の経済発展のありかたについて検討している。このテーマについては研究と教育の有機的連関をはかるべく、学部の小人数授業で学生との議論を通じて研究をすすめている。まもなく、小国の定義を含め、小国がさらされている問題を整理した論文を完成させる。その後に、従来の開発経済学で想定していた大国モデルと異なる理論モデルのありかたについて検討する論文を執筆する予定である。
主要業績:
沖縄と本土の格差 ― 一人当たり県民所得格差をどのように見るか―(三田学会雑誌2003年)
「自立」概念の再検討:沖縄を例として(三田学会雑誌2002年)
沖縄の在日米軍基地(伊藤幹夫。大平哲編『マクロ経済学の方法・理論と実証・政策、御茶の水書房2002年第18章)
住民組織を利用した開発のための社会関係資本(佐藤寛編『援助と社会関係資本』アジア経済研究所2001年第4章)
環境制約下の経済成長:理論分析(三田学会雑誌1998年)
発展途上国の金融自由化・国際化 (伊東和久編『発展途上国の金融改革と国際化』アジア経済研究所1995年第9章)
ラテンアメリカの経済と金融 (伊東和久・山田俊一編『経済発展と金融自由化』アジア経済研究所第8章1993年)
流動性制約下の資産選択と異時点資産選択モデル (三田学会雑誌1990年、伊藤幹夫氏と共著)
閲覧者へのメッセージ:
 経済格差に関する次の3つの問題を中心に研究をすすめています。(1) 経済格差はなぜあるのか、(2) それは解消すべきものなのか、(3) すべきとしたらどのように解消するのがいいのだろうか。具体的には、格差を考える経済学の研究、格差解消の手段としての国内外の援助・補助金の経済分析をしています。経済学では伝統的に効率性を軸に分析をする習慣があり、公平性とか格差に関する体系的理論はありません。個別の問題ごとに適切な理論を探すしかありません。理論研究の他に、沖縄と本土との間の格差の問題を主として、格差を考える経済モデルをどのように現実の経済分析に応用できるかを考えています。現実の経済格差の分析をするときには、複雑な政治・歴史的条件も関わってくるので、経済学の道具を応用するのは難しく、それだけにやりがいを感じています
 経済格差に関心をもったのは学生時代でした。南北問題についての本を読み、先進国と途上国との間の経済格差の深刻さに大きく心を動かされました。国と国との間の格差だけでなく、地域や人によってなぜこうも多様性があるのだろうかということに関心をもちつづけています。学生時代に接した文献にはその後も大きく影響されつづけるはずです。友人との議論も大事です。できるだけ多くの文献に接し、友人と語り合うことを学生のみなさんには強くすすめます。