玉田康成


個人基本情報
氏名:
玉田康成 [たまだやすなり]
職位:
准教授
研究室:
三田研究室 526 (内線 23226, E-mail: tamada@econ.keio.ac.jp)
略歴:
1968年: 兵庫県姫路市生まれ
1992年: 慶應義塾大学経済学部卒業
1994年: 慶應義塾大学大学院経済学研究科修士課程終了
1994年: 慶應義塾大学経済学部研究助手
1997年: 慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程単位取得
1997年: 慶應義塾大学経済学部専任講師
1997年 〜 2001年: University of Wisconsin-Madison に留学
2002年: 経済学部准教授(助教授)
最終取得学位:
Ph.D. (Economics, University of Wisconsin-Madison)
受賞学術賞:
所属学会:
日本経済学会,American Economic Association,など
教育活動
担当科目(2007年度)
[通学課程]
ミクロ経済学初級・ミクロ経済学中級・研究会
[通信教育課程]
なし
[大学院]
上級ミクロ経済学・ミクロ経済学演習
教育方針:
[講義科目]
講義ノートを事前に配布する,または板書を多くするなどして,学生が講義への参加によって効率的に学習でき,同時に自ら予習や復習を行なえるように工夫している.
さらに,学生が自らの理解の程度を確認し,自ら考えることで理解を深めることが可能となるように,定期的に宿題を課し解答を配布している.また,とくに日吉の科目では授業内演習を行なっている.宿題や演習は学生の理解度を把握する目的のためにも利用している.
個別の学生に対する指導としては,三田の科目ではオフィス・アワーを定期的に設け,日吉の科目ではTAセッションを定期的に開催している.
[研究会]
研究会ではミクロ経済理論,産業組織論,ゲーム理論,契約理論についての理論分析とその応用について研究をおこなっている.
研究会は類似した関心を抱く少人数の学生が集まっているという性格を考慮して,まず,基本的な文献を全員で読むことで,共通の基盤を形成し議論が円滑かつ活発に行なえるように考慮している.それを踏まえたうえで,3年生については少人数のグループで応用的な研究を行ない,その成果を発表する場として三田祭やインゼミを用意している.
4年生については,卒論作成の目標に向けて,テーマの選択や論文形式での研究成果の作成についての助言をおこなっている.また,学生が自ら理解することがまず重要であるが,その理解を他者に伝えることも同程度に重要であるという認識にもとづき,プレゼンテーションについても重きを置いている.
研究会で培った学生間,学生と教官との間の密接な関係は大学生活のひとつの根幹なので,学生間のグループワークを奨励し,また学生からの個別の質問については,とくに制限を設けず,常時対応するようにしている.
研究活動
専攻・研究領域:
インセンティブ・契約理論,産業組織論,ミクロ経済学
現在の研究活動
研究課題名:
「組織内部の情報伝達の効率性と権限委譲」
途中経過及び今後の計画:
企業に代表される組織においては,構成員間の情報の交換を効率的に行なうこと,および,より適切な構成員により多くの権限を委譲することが望ましい.その2つを達成するシステムについて理論的研究をおこなっている.すでに研究論文として“Communication versus Delegation in Long-term Relationships and the Promotion Policy”と“Allocation of Decision-Making Authority with Principal's ReputationConcerns”(under revision at Journal of Law, Economics, and Organization)を作成し,いくつかの学会・研究会で報告を行なっている.
研究課題名:
「競争と経営者のインセンティブ」
途中経過及び今後の計画:
市場競争が経営者のインセンティブに与える効果について,経営者が抱くキャリアについての関心に焦点をあてて研究をおこなっている.すでに研究論文として“Career Concern Incentives in the Market”を作成し,いくつかの学会・研究会で報告を行なっている.
主要業績:
[単著論文]
「通時的な投資をともなう研究開発における最適な組織形態」(2004),『三田学会雑誌』,97巻1号.

「研究開発投資のインセンティブと垂直的統合」(1997),『三田学会雑誌』,89巻4号.

「需要不確実性と垂直的統合」(1995),『三田学会雑誌』,88巻3号.

“Essays on Managerial Career Concern and Organization Theory”(博士論文)2002年5月.

[共著論文]
“Delegating the Decision-making Authority to Terminate a Sequential Project”(2014), Journal of Economic Behavior & Organization, 99.(with Tsung-Sheng Tsai)

“Optimal Organization in a Sequential Investment Problem with the Principal's Cancellation Option”(2007), International Journal of Industrial Organization, 25(3).(with Tsung-Sheng Tsai)

“Direct and Indirect Connection, the Shapley Value,and Network Formation”(2005), Advances in Mathematical Economics, 8.(with Kunio Kawamata)

“Network Formation in the Work Partnering”(2003),Waseda Economic Papers, 42.(with Kunio Kawamata)

「ネットワークの形成と安定性」(2005),『三田学会雑誌』,98巻1号.

「直接的コネクションと間接的コネクションから形成されるネットワークの安定性」(2005),『三田学会雑誌』,98巻3号.

[著書]
『情報とゲームの理論』(1996),三菱経済研究所.

『契約理論の基礎』(1999),三菱経済研究所.

『現代ミクロ経済学-中級コース』(2005),有斐閣(編著).

『モバイル産業論』(2010),東京大学出版会(編著).

[翻訳]
『クルーグマン ミクロ経済学』(2007),東洋経済新報社(共訳).

『クルーグマン マクロ経済学』(2009),東洋経済新報社(共訳).

閲覧者へのメッセージ:
[研究紹介]
現実の経済において,経済主体のインセンティブは,市場だけではなく,制度・システムなど様々な側面より影響を受けます.
異なる制度・システムは異なるインセンティブを与えるという・マ点から制度・システムを理論的に分析評価すること,および,与えられた制度・システムの下での経済主体の戦略的行動とその帰結を理論的に分析することが研究領域です.
最近は,経済主体の評判形成インセンティブの源泉と,それを競争や制度・システムによっていかに制御するかに関心があります.
[学生へのメッセージ]
経済学の学習を通じて,その思考方法,現実経済を客観的に判断する能力を十分に培って下さい.
経済理論(ミクロ経済学,マクロ経済学,計量経済学)は現実を眺める「視点」としては優れた頑健性を有しており,人や社会とのかかわり方である教養・専門的知識として学ぶに値するものです.
経済学を「視点」として確立するためには,経済学部で何を学習するかという選択に際し,熟考と真摯な態度が必要となるでしょう.