古田和子
- 個人基本情報
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- 氏名:
- 古田和子 [ふるたかずこ]
- 職位:
- 教授
- 研究室:
- kfuruta@econ.keio.ac.jp
- 略歴:
- 1977年:東京大学教養学部卒業, 79年:同大学大学院国際関係論修士課程修了, 80〜82年:フルブライト奨学生としてプリンストン大学大学院に留学, 84年:東京大学大学院博士課程単位取得修了, 84〜88年:東京大学教養学部助手, 87年:プリンストン大学客員研究員, 88年:プリンストン大学大学院博士号取得(Ph.D.), 89〜96年:東洋英和女学院大学助教授, 教授, 97年〜:慶應義塾大学経済学部教授。
- 最終取得学位:
- Ph.D.・歴史学・プリンストン大学大学院
- 受賞学術賞:
- 大平正芳記念財団第1回環太平洋学術研究助成費受賞(1987年)
慶應義塾義塾賞(2001年)
- 所属学会:
- The Association for Asian Studies (USA)
社会経済史学会(幹事)
アジア政経学会(評議員)
『国際関係論研究』編集委員
- 教育活動
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- 担当科目(2007年度)
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- [通学課程]
- 経済史II, アジア経済史, 研究会, アジア経済史(院), 経済史演習(経商連携COE科目)(院)
- 教育方針:
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- 経済史II
- 1・2年生に対する「経済史への招待」を目的として、アジア・日本の経済史の基本的な論点を講義している。学生諸君には「歴史」の講義であるとは言わず、「経済の長期的変動のメカニズム」を考察していく講義です、と紹介する。結局は歴史なのであるが、そうは言わないところに教員の苦心の跡を見てほしい。もちろん、日本とアジアの経済史の基本は押えていくように考慮しており、その点は「経済史II」で講義すべき事項について5名の担当者間で協議し、それに従って講義内容を組み立てている。しかし、他方で担当者本人が面白いと思っているテーマを2、3選び、そのテーマについては自由でかつダイナミックな話をしている。聞いている学生諸君はきっと「ここは古田の領域か」と感じていることと思う。
- アジア経済史
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三田の3、4年生を対象とした専門の基本科目として、アジア経済史を講義している。同じく基本科目である「日本経済史」や「欧米経済史」なども受講している意欲的な学生に対しては、それらの地域との「比較」の視点を喚起できるようなアジア経済史の講義にしたいと望んでいる。「比較」という視点を念頭に置いた春学期には、国民国家とは異なる統合原理を備えていた中華世界の特徴を考察し、18世紀以降増加し続ける巨大な人口を支えてきた中国経済とは、一体どのようなタイプの経済であったのかを検討する(取り上げるテーマは、なぜアジア経済史なのか、アジア観の変遷、世界帝国VS. 国民経済、人口の長期変動、人口・開発・環境、農業生産と小農経済論、手工業、貨幣制度、制度としての仲介など)。
後半の秋学期は「関係」という視点から、中国・日本・東南アジアなど近代におけるアジア諸地域間の国際経済史を検討していく(取り上げるテーマは、東アジア銀経済圏、アジア三角貿易、開港と中華世界の変容、上海ネットワーク、境域の経済秩序と通貨圏の選択、アジア国際分業体制、植民地経済構造、中国―東南アジア間の華僑の労働力移動と送金ネットワーク、上海・香港・シンガポールの経済史的役割、両大戦間期アジア経済と世界経済など)。
講義科目において学生とコミュニケートするための前提は、自分の専門領域の面白さが聞き手に伝わるように講義することだと考えている。学生諸君はそのことを敏感に感じ取る存在であり、その意味で「優れた聞き手」である。
- 研究会
- 「閲覧者へのメッセージ」の欄を参照されたい。
- アジア経済史(大学院)
- アジア経済史の専門に進んだ大学院生を中心とした演習。
- 経済史演習(大学院)
- 経済学研究科・商学研究科連携のCOE科目。
- 研究活動
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- 専攻・研究領域:
- アジア経済史
- 現在の研究活動
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- 研究課題名:
- 東アジア地域経済圏の歴史的分析
- 途中経過及び今後の計画:
- 近代東アジアにおける地域経済の相互連関を検討している。
- 研究課題名:
- 近代中国における市場の歴史制度分析
- 途中経過及び今後の計画:
- 近代中国の市場における仲介機能を情報の観点から検討する作業を進めている。
- 主要業績:
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- 著書
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- 『日韓共同研究叢書20 東アジアの中の日韓交流』慶應義塾大学出版会、2007年。
- Japan, China, and the Growth of the Asian International Economy, 1850-1949, Oxford University Press, Chapter 2 (pp.23-48), 2005.
- Textiles in the Pacific, 1500-1900, Ashgate Publishing Limited, Chapter 7 (pp.191-220) and Chapter 11(pp.285-309), 2005.
- 『比較史のアジア―所有・契約・市場・公正』東京大学出版会、2004年。(第9章担当)
- 『上海ネットワークと近代東アジア』東京大学出版会、2000年。
- 『日本イメージの交錯−アジア太平洋のトポス』東京大学出版会、1997年。(pp.190-207)
- The State and Cultural Transformation : Perspectives from East Asia, United Nations University Press, 1993. (pp.142-160)
- 単著論文
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- 「『湖糸』をめぐる農民と鎮」『教養学科紀要』(東京大学教養学部)第17号(1985年)。
- 「城郷発展経験」江蘇省中国経済史研究会編『経済史論衡』(1)南京大学出版社、1987年。
- " Peasant, Market Town, and Handicraft Technology, " A. Hayami eds., Economic and Demographic Development in Rice Producing Societies, Tenth International Economic History Congress, Luven, 1989.
- 「製糸技術の移転と社会構造」川北稔編『シリーズ世界史への問い2 生活の技術 生産の技術』岩波書店、1990年。
- 「大阪財界の中国貿易論――50年代初期」中村隆英・宮崎正康編『過渡期としての1950年代』東京大学出版会、1997年。
- 「境域の経済秩序」『岩波講座世界歴史 23 アジアとヨーロッパ 1900年代―20年代』岩波書店、1999年。
- "Inchon Trade," S. Sugiyama and L. Grove eds., Commercial Networks in Modern Asia, Curzon Press, 2001.
- 「経済史における情報と制度」『社会経済史学』第69巻第4号(2003年11月)。
- その他
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- 「上海ネットワーク再来」『中央公論』1996年11月号。(英訳 "The Shanghai Network Reemerging," JAPANECHO, Vol.24 No.1, 1997.)
- 閲覧者へのメッセージ:研究紹介と学生へのメッセージをかねて、学部3、4年生に対する私のゼミを紹介した文章を載せます。
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「古田研究会の紹介」
I.研究分野
近代アジア経済史
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アジア地域は近年、急速な変化を遂げつつある。そうした現在のアジアを理解するためにも、近代におけるアジア諸地域の経済的な変容過程を長いタイム・スパンの中で歴史的に解明する必要性はさらに高まっているといえよう。
本研究会では、19世紀後半から20世紀前半の時期を中心とした近代アジア経済史の研究を行なう。一言でアジアと言っても、さまざまな地域が含まれるが、本研究会では主として、中国を中心とする東アジア、および東南アジア地域を分析の対象としている。アジア経済史の本格的な研究は緒に着いたばかりである。 アジア研究の方法論についても様々な考え方があるし、研究されるべき領域は多く残されているので、 その分やりがいはあるし、新しい領域に参入して自分の力を発揮できる可能性もある。他方、歴史データの収集などの面で困難が多いことも事実である。
こうした点を踏まえた上で、
(1)近代東アジア・東南アジア地域における社会経済的変容過程
(2)アジア域内における国際経済関係や国際分業体制の歴史的変遷
(3)アジア理解およびアジア研究の方法論
などに興味をもっている人は歓迎する。
私自身の専門は、 近代東アジア経済史である。問題関心は、 アジアにおける流通・ 情報ネットワークの歴史的分析、国境を超えたモノの移動、アジア域内における国際 経済関係の変遷、アジアにおける技術移転と地域適応のプロセスなど。
- II.ゼミ運営
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3年次は基礎的な研究文献の講読と討論を通して、 アジアに関する基本的な知識をメンバー全員が共有できるようにする。 たとえば、今年度春学期のゼミは毎週1本ずつ論文を読み進んでいる。論文1本に付き、レポーターとコメンテーター各1名が割り当てられ、この2名が責任をもってその時間のゼミを運営するという方法である。レポーターはレジュメを用意し、メンバーで話し合うべき論点や話題を提供するという役割を担う。一方、コメンテーターは、レポーターの報告に対して質問や疑問を提出して、メンバーが議論に参加する道筋を示すという役割である。したがって、ゼミがうまく行った日は、担当教師、すなわち私、の発言する機会は少なくなり、寡黙を愛する私としてはこの上なく楽な授業日となる。もちろん、いつもこのようにうまく行くとは限らない。理想と現実にギャップが存在するのは世の常であるが、今現在、ゼミ運営は理想型に向かいつつある状態で、私としては毎週のゼミを楽しみにしている。夏合宿はゼミ活動の中でも重要な位置付けが与えられている。メンバーは、合宿における報告の準備のために、休み中にも自主的に共同作業を行っているようである。合宿以降、秋学期は、三田祭でのゼミ共同論文の執筆と発表にむけて、3年生を中心に準備を進める。
4年次は各自テーマを設定して卒業論文を作成する。卒論はテーマ設定が命である。
- 最後に、「多様なアジア」を対象とするのであるから、多様な個性の参加を希望する。