矢野 久
- 個人基本情報
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- 氏名:
- 矢野 久(やの ひさし)
- 職位:
- 教授
- 研究室:
- 略歴:
- 1950年生まれ。73年:経済学部卒業。85年:大学院経済学研究科博士課程満期退学。
78年より西ドイツ政府留学生(DAAD)としてボーフム大学に留学、ドイツ社会経済史を専攻。83年ボーフム大学にて博士号取得(Dr.rer.soc)。89年:助教授、96年:教授。
- 最終取得学位:
- Dr.rer.soc 社会科学 ドイツ・ボーフム大学
- 受賞学術賞:
- 所属学会:
- 社会経済史学会、社会政策学会、西洋史学会、経営史学会、日本ドイツ学会、ドイツ現代史学会
- 教育活動
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- 担当科目(2007年度)
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- [通学課程]
- 社会史、経済史I、戦争と社会、研究会
- 教育方針:
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「経済史I」は、学部1年生の必修科目であるため、工業化以前の時代、工業化の時代、工業化以後の時代に分けてヨーロッパの社会経済史的発展の特徴をできうるかぎり簡明に解説することに心がけている。社会経済史研究の方法にも配慮している。
「戦争と社会」は総合講座の科目であるが、コーディネーターとして開講している。経済学部のスタッフのみならず、学外の研究者やそれぞれの分野で活躍している人を招いて、講義してもらっている。21世紀において活躍する学生が現代世界の問題を経済的のみならず政治的、社会的な関連において総合的に解明するための素材を提供している。戦争と社会の問題を幅広く考察するだけでなく、現代世界にアプローチするための学問的方法を提示し、学生が自ら思考するための手がかりを提示することをめざしている。
「社会史」は三田開講の基本科目である。社会史は「全体としての社会の歴史」を扱う学問であり、社会全体の構造の歴史的発展とそこに生きる人々の経験との関連において社会全体を総合的に把握しようとする「総合の学」である。こうした社会史研究の思想的淵源をたどりつつ、ドイツ、イギリス、フランス各国における社会史研究の共通性と差異性を明らかにする。家族、犯罪、労働者文化、マイノリティなどを経済・政治・社会・文化の相互関連において総合的に捉えることをねらいとしている。
「研究会」は総合テーマを設定してそのための文献を読み、三田祭に向けて小論文集を作成させている。2007年度の総合テーマは「警察の社会史」である。
- 研究活動
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- 専攻・研究領域:
- ドイツ現代社会史
- 現在の研究活動
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- 研究課題名:
- (1)戦後西ドイツにおける労働移民の史的研究
- 途中経過及び今後の計画:
- 文書館資料を基に、労働移民政策の意思決定過程を連邦レベル、地域レベルで考察しながら、外国人労働者政策の実態を把握することをめざして、ドイツ語ならびに邦語論文を学会誌ないしドイツ語論文集に掲載してきた。
- 研究課題名:
- (2)ナチス・ドイツの戦争と虐殺に関する総合的研究
- 途中経過及び今後の計画:
- 20世紀の現象を総合的に把握するために、ナチスによる戦争と虐殺を経済と政治の相互関連において把握することをねらいとしている。虐殺の社会史研究論文集を編集し、その総括論文を完成させる予定である。
- 研究課題名:
- (3)戦後ドイツにおけるルール地方の外国人労働者の居住の社会史
- 途中経過及び今後の計画:
- 現在ドイツの文書館で、労働移民の居住に焦点を絞った資料を探している。連邦レベルでの資料に基く研究はすでに存在しているが、地方レベル、企業レベルにまで掘り下げた研究はまだない。特に企業文書館、都市文書館などの文書館の資料を基にした研究をめざしている。
- 主要業績:
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- 著書
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- Hüttenarbeiter im Dritten Reich, Stuttgart 1986
- ナチス・ドイツの外国人―強制労働の社会史』現代書館、2004年(12月)
- 単著論文
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- “Wir sind benötigt, aber nicht erwünscht”, in: Fremde Heimat. Eine Geschichte der Einwanderung aus der Türkei, hrsg.v. Mathilde Jamin u.a., Essen 1998
- “Migrationsgeschichte”, in: Interkulturelle Literatur in Deutschland. Ein Handbuch, hrsg.v. Carmine Chiellino, Stuttgart/Weimar 2000
- “Anwerbung und ärztliche Untersuchung von >Gastarbeitern< zwischen 1955 und 1965”, in: Migration und Krankheit, hrsg.v. Peter Marschalck und Karl Heinz Wiedl, Osnabruck 2001
- “Arbeitsmigration im Steinkohlenbergbau in der Frühphase der Bundesrepublik”, in: Kulturalismus, Neue Institutionenökonomik oder Theorienvielfalt. Eine Zwischenbilanz der Unternehmengeschichte, hrsg.v. Jan-Otmar Hesse u.a., Essen 2002
- “Die Zwangsarbeiterdiskussion in Japan”, in: Zeitschrift für Genozidforschung, 7. Jahrgang/Heft 2, 2006.
- 「ドイツの戦後責任と戦後補償―強制労働基金の歴史的意義」『ドイツ研究』33・34、2002年
- 「ナチス大量虐殺の構造的考察―強制労働・強制収容所・ユダヤ人虐殺」『三田学会雑誌』94巻4号(2002年1月)
- 「ドイツ戦後補償と強制労働補償基金の意義」『三田学会雑誌』95巻4号(2003年1月)
- 「戦後ドイツにおける外国人労働者の居住の社会史」『三田学会雑誌』99巻3号(2006年10月)
- 共編著書
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- 『ドイツ社会史』有斐閣、2001年(6月)
- ナチズムのなかの20世紀』柏書房、2002年(4月)
- 『裁判と歴史学―731細菌戦部隊を法廷からみる』現代書館、2004年
- 閲覧者へのメッセージ:
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私の研究活動の場はドイツと日本である。ナチ時代の労働史についてドイツ語の本を公刊して以後は、戦後ドイツの外国人労働者の健康政策、石炭業における外国人労働者導入政策とその実態に関して、また労働移民の歴史的概観についてドイツ語で論文を発表してきた。個別テーマではさらにこの領域でドイツにおいて論文を発表する予定である。
20世紀をどのように捉えるのかも私の主要な関心の一つであり、日本語で論文ないし著書を刊行してきた。今後もこの領域で刊行の予定である。さらに、ナチス・ドイツ、ドイツの戦後補償、外国人労働者政策と労働移民問題についても日本語で論文を執筆してきたが、今後もこうした分野でさらに研究を継続していくつもりである。
国際的であることはいろいろな領域で可能であると思うが、私は以上のような形で、とりわけドイツ語で発表することによって国際的貢献をしていくことが重要であると考えている。一次資料を基礎にして歴史研究することが歴史家に課せられた最も重要な課題であると信じている。