新島 進


個人基本情報
氏名:
新島 進[にいじま すすむ]
職位:
准教授
研究室:
来往舎 405号室 内線33405  niijimaあっとz5.keio.jp
略歴:
1969年 埼玉県生まれ
1994年 慶應義塾大学文学部仏文科卒業
1997年 慶應義塾大学文学研究科修士課程(フランス文学)修了
1998年 レンヌ第二大学DEA課程(芸術・文学・コミュニケーション学科)修了
2004年 レンヌ第二大学博士課程(芸術・文学・コミュニケーション学科)修了
2003年〜2007年 早稲田大学理工学部非常勤講師
2007年 拓殖大学商学部非常勤講師
2007年〜 慶應義塾外国語学校非常勤講師
2008年〜慶應義塾大学経済学部准教授(現職)
最終取得学位:
文学博士 レンヌ第二大学
所属学会:
日本フランス語フランス文学会(関東支部論集編集委員)
日本ジュール・ヴェルヌ研究会(会長)
教育活動
担当科目(2008年度)
[通学課程]
フランス語第I, II(日吉), IV/V(三田)。自由研究セミナー(日吉)。
[通信教育課程]
教育方針:
フランス語:
教室では確かにフランス語を学ぶ。ただし外国語の学習をとおして養ってもらいたいもっと基本的な力がある。
ひとつは〈他者〉と共生する力。隣の〈他者〉とコミュニケーションできない者が外国語を学ぶのはどこか本末転倒しているだろう。
もうひとつは文章の読解力。訳読で問われるのは実は外国語の力ではなく、書かれている内容をきちんと把握する論理的な思考力だ。
これを踏まえたうえで、フランス語の力を実用にしたい受講者には、経済学部における学習で「辞書を用いればフランス語の新聞記事が読める」水準に達してもらう。そこまで求めない受講者にも、言葉に触れることで遠くの〈他者〉であるフランス人、ひいてはフランスの文化を知り、日本社会との違いを考えていただく。ふだんは「複合過去の助動詞が……」と呪文を唱えていても、大学はやはり文化と教養の再生産、再創造の場でありたい。実用ばかりを謳う語学学校でも、就活のための予備校でもなく。
自由研究セミナー:
「独身者機械」というテーマをとり扱う。美術(デュシャン)、文学(カルージュ)、社会風俗(同性愛文化、独身者文化、現代日本のおたく文化)など多岐にわたる観点から、近現代人の想像力、芸術の営みを、「独身者」そして「機械/テクノロジー」というキーワードをとおして考察する。
研究活動
専攻・研究領域:
近現代フランス文学(レーモン・ルーセル)、SF、独身者機械芸術。
現在の研究活動
研究課題名:
ルーセルとヴェルヌ
途中経過及び今後の計画:
レーモン・ルーセルはジュール・ヴェルヌを人類史上最大の天才作家と崇め奉るが、この「異常な愛情」には謎や疑問点も多い。そこで両者のテクストの精緻な比較から、ルーセルにおけるヴェルヌ崇拝の本質を詳らかにする。およそ半世紀に亘って書き継がれた膨大なヴェルヌのテクストを読んでいく作業を現在行っているが、ルーセルがどの時期のヴェルヌ作品をとりわけ読み、あるいは読んでいないかが朧気に見えてきたところ。
研究課題名:
フランス未来予想小説の隆盛と凋落
途中経過及び今後の計画:
フランスでは19世紀中葉より、現代SF文学の源流ともいえる「未来予想小説」が隆盛した。しかし同国におけるこのジャンルは二つの世界大戦によって終息、代わってアメリカにおいてSFというジャンルが確立、発展する。なぜフランスではアングロサクソン流のSF文学が誕生しなかったのか。この原因をヴェルヌほか、カミーユ・フラマリオン、アルベール・ロビダ、モーリス・ルナール、ロニー兄など作家個々の問題や、当時の社会的な状況から探る。
主要業績:
単著論文
「火星人のドリー」、早稲田文学、1998年。
Mesure et démesure chez Raymond Roussel, thèse de doctorat (博士論文), Université Rennes II, 2004.
« Périodicité et superstition chez Raymond Roussel », Etudes de langue et littérature françaises (フランス語フランス文学研究), nº 88, 2006.
« Le fantôme, le corps creux et le procédé roussellien », Cahiers d’études françaises Université Keio (慶應義塾大学フランス文学研究室紀要), nº 11, 2007.
共著書
巽孝之編『現代作家ガイド ウィリアム・ギブスン』(彩流社、1997年)
巽孝之、荻野アンナ編『人造美女は可能か?』(慶應義塾大学出版会、2006年)
翻訳
エチエンヌ・バラール『オタク・ジャポニカ』(河出書房新社、2000年)
レーモン・ルーセル『額の星 無数の太陽』(共訳、人文書院、2001年)
ダイ・シージエ『バルザックと小さな中国のお針子』(早川書房、2002年)
ダイ・シージエ『フロイトの弟子と旅する長椅子』(早川書房、2007年)
閲覧者へのメッセージ:
単位をとれるだけの「お勉強」は最低限しよう。サークルやバイトで忙しくても、優秀な君たちにとってそれはたやすいこと。でも、できたなら時折、「なぜ学ぶのか」それ自体についても考えてもらいたい。それが大学生活を活かせるかどうかの境目。それがこれからの人生の糧になると信じる。受験が終わったのになぜまた勉強なのか、なぜ大学に来るのか、なぜ社会に出ていくのか、そして、なぜ生きていくのかを。そのうえで問題はなぜ学ぶのか、なぜ教養なのか、なぜフランス語なのかに立ち戻ってくるかもしれない。考えなくても社会には出られるかもしれないが、考えた人は人間力もあがるはず。人生どこかでなにかに突きあたる。今考えることはそれに対する備えとなる。ふとした折でいい。単一な答えなどない。半学半教のなかでこの「なぜ」を考えてみよう。