星 浩司


個人基本情報
氏名:
星 浩司(ほし こうじ)
職位:
教授
研究室:
日吉研究室
略歴:
1988年:獨協大学外国語学部英語学科卒業、90年:同大学大学院外国語学研究科英語学専攻修士課程終了、95年:ロチェスター大学大学院言語学科博士課程終了(Ph.D.)、95年〜96年:マサチュ―セッツ工科大学客員研究員、96年:慶応義塾大学経済学部助教授。
最終取得学位:
博士号(Ph.D.)、言語学、ロチェスター大学
受賞学術賞:
なし
所属学会:
日本英語学会、日本言語学会、日本英文学会
教育活動
担当科目(2007年度)
[通学課程]
Study Skills、English Seminar 中級、English Reading
言語学概論I(文学部開講)
[通信教育課程]
英語II
教育方針:
経済学部では、春学期にStudy Skills、秋学期にEnglish Seminar 中級、そして、通年でEnglish Readingを担当しています。Study Skillsは、経済学部の一年生が履修する必修科目の一つですが、統一テキストを用い、rapid/extensive reading、oral presentation、paragraph writingなどを集中的に学習します。大学入学前にはほとんどやらなかった、英語を使っての高度な言語活動を目指しており、このコースで培われた能力は、大学を卒業してから実社会で要求される英語能力の基礎をしっかりと築くものと思います。また、English Seminar 中級では、Study Skillsで身につけた英語能力を更に発展させることを目指しています。具体的には、言語に関する特定のテーマを取り上げ、各グループに分かれてのテキストの英語によるサマリーの発表や、各自が選んだ関連問題についてのリサーチとその成果を英語小論文としてまとめ、その口頭発表を英語で行ってもらっています。最後に、English Readingでは、英文を通して、西洋哲学・思想の流れを概観し、自分の経験に照らし合わせながら、代表的な考え方を学んでいきます。 各グループごとのテキストのサマリーの発表や、夏休みの課題として好きな哲学者・思想家に関するレポートを提出してもらいます。それを各自発表して、その内容を踏まえて、更に複数の思想を比較・対照させて英語でエッセイを書いてもらっています。現代の混沌とした時代を生き抜くためにも、私自身も含め、学生諸君が先人の「知の歴史」を振り返ってみることは不可欠だと考えております。文学部で開講している「言語学概論I」は、特に言語学の知識は前提とはせず、現代(理論)言語学、特に生成文法理論の学問全体に於ける位置づけ、その目標と方法論、その具体的成果を概観することを眼目にしています。通年を前期と後期に分けて、現在2回試験を行っていますが、学生がより深い理解を得られるように、履修者数次第では、今後、グループでの様々な作業を増やしていきたいと思っています。通信教育課程の英語IIは、2003年4月から「文法・作文」と「リスニング・スピーキング」の両方のレポート出題・添削と試験問題出題・採点を担当しています。この科目は今後学生がより高度な英語を使いこなしていくための基礎作りを目指しています。作文を通して、英文法のエッセンスを身につけ、同時にリスニングとスピーキングの練習を通じて、その知識を実際に使える知識のレベルまで引き上げることを目標にしています。
研究活動
専攻・研究領域:
理論言語学、生成文法理論(比較統語論)
現在の研究活動
研究課題名:
Antisymmetry in Natural Languages
途中経過及び今後の計画:
Kayne (1994)によって自然言語の統語構造がantisymmetryを有することが解明されましたが、現在の研究では、特に自然言語の焦点連結現象に於けるantisymmetricな特徴と言語間の相違を理論的に如何に導出するかを探っています。
主要業績:
単著論文
"The Head-Internal Relative Clause in Japanese: An Empty Head Noun Approach," in Noriko Akatsuka, Shoichi Iwasaki, and Susan Strauss (eds.), Japanese/Korean Linguistics 5, 253-268, 1996b.
"On the Necessity of a 'Cooperian' Treatment of E-Type Pronouns: Evidence from the Head-Internal Relative Clause in Japanese," ESCOL 95, 77-88, 1996c.
"Multiple Case-Checking in the Head-Internal Relativization in Japanese," in Uli Sauerland and Masatoshi Koizumi (eds.), Formal Approaches to Japanese Linguistics 2, MIT Working Papers in Linguistics 29, 21-40, 1996d.
"Deriving the Differences of Nominal Modification: A Comparative Syntax of English and Japanese," Language, Culture and Communication 19, 92-115, 1997.
"A Minimalist Approach to Modification," JELS 16, 71-80, 1999.
"A Parametric Syntax of Nominal Modification: A Case Study of English and Japanese," Language, Culture and Communication 27, 1-23, 2001a.
"Pritchett, Bradley (1992) Grammatical Competence and Parsing Performance, Chicago, IL: University of Chicago Press," in Shosuke Haraguchi and Noriko Imanishi (eds.), Eigogaku Bunken Kaidai [Bibliographical Introduction of English Linguistics Literature] 5: Bunpoo [Grammar] II, 305-307, Tokyo: Kenkyusha, 2001b.
"The Nominalist Approach to the Head-Internal Relative Clause in Japanese Revisited: The Pure Internal Head vs. The Null External Head," Language, Culture and Communication 28, 1-32, 2002a.
"The Kaynean Analysis of Nominal Modification and Its Parametric Implications," Language, Culture and Communication 29, 1-25, 2002b.
"An Explanatory Quest for the True Architecture of the Faculty of Language," English Linguistics 24, 109-136, 2007.
著書
「第I部 文法・作文」『新・英語II』慶応義塾大学出版会、2000年、3−118頁。
『言語学への扉』慶應義塾大学出版会、2006
閲覧者へのメッセージ:
研究紹介
専門は理論言語学の中の生成文法理論に基づく文法研究です。人間を人間たらしめている根本的な属性の一つが「言語」ですが、「言語」には大きく分けて"社会、文化的"な側面と"生物学的(生得的、遺伝的)"な側面の二つがあります。生成文法理論では、その草創期以来約50年間、後者の側面に焦点を当てながら、「人間言語の可能な実現形態を規定する式型はどのような特性を持っているのか」という問題を理論的なモデルを構築しながら探ってきています。ヴィルヘルム・フォン・フンボルトの言葉を借りれば、言語は「有限な手段の無限な使用」という特徴を持っていますが、有限の材料とシステムで、無限の言語表現を生み出すことを可能にしている人間の言語能力の素晴らしさに感嘆するばかりです。
学生へのメッセージ
私自身「如何に面白い問題を見つけ出すか」が一番難しいということを常日頃痛感させられています。皆さんも慶應義塾大学に入学したら、是非、体系的な学問の習得を通じ、自ら問題を発見し、その解答を求めつつ自分の頭でとことん考え抜く態度を積極的に養っていってください。